[FT]IMFトップ、通貨の「武器化」政策に警告

2010/10/6付
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(2010年10月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は、各国政府が為替相場の変動によって国内問題の解決を図るならば、通貨戦争を引き起こす恐れがあると警告した。

景気回復を損なう深刻なリスク

ストロスカーン専務理事は4日、フィナンシャル・タイムズ紙に対し「自国通貨を政策上の『武器』として使うというアイデアが広まりつつある」とした上で、「このような考えは世界の景気回復を損なう極めて深刻なリスクをはらんでおり、その手法は世界経済に重大で長期的な悪影響を及ぼすだろう」と述べた。

専務理事の発言は、日銀が5日、政策金利の引き下げ、国債その他の資産を購入する新基金の創設などの追加金融緩和政策を決定する前に行われたものである。

日銀の追加金融緩和政策を受け、円は対ドルで下落。各国の中央銀行が金融緩和に相次いで乗り出すとの期待感から、債券や株式、金相場も軒並み上昇した。

主要各国はここ数週間、自国通貨の上昇圧力を緩和する対策をとっている。日本政府・日銀は6年ぶりに通貨市場での円売り・ドル買い介入を実施。通貨レアル抑制に向けた介入を示唆してきたブラジルは4日、資金流入に歯止めをかけるため、海外から自国への金融投資に対する課税率を2倍に引き上げると発表した。

中国と欧州の間に「食い違い」

ブラジルのマンテガ財務相は先週、通貨戦争の危機に言及した。これに対してストロスカーン専務理事は「巨額の資本流入が続く一部の新興国が、特に通商面で、自国の通貨を使い利益を得る時が来たと考え始めているとの報告があるが、それは賢明な解決策とは思わない」と強調した。

同専務理事は週末にワシントンで開催されるIMF・世界銀行年次総会を前に取材に応じた。今回の年次総会では、先行き不透明な世界経済や各国政府の経常赤字の不均衡問題などが主要議題になるとみられる。

一方、欧州各国の首脳は、ブリュッセルで開かれたアジア欧州会議(ASEM)の後、中国の温家宝首相との意見の相違を表明している。

ユーロ圏財務相会合の議長を務めるユンケル・ルクセンブルク首相は、中国と欧州当局の間には「分析に食い違い」があると指摘し、「人民元は概して過小評価されていると考えている」と述べた。

温首相は今週、中国のギリシャ国債買い増しを表明。ギリシャが債務不履行(デフォルト)を免れることができるとの信頼を示した格好だ。だが複数のエコノミストは、中国のギリシャ国債の買い増しはユーロの人民元に対する価値を押し上げる効果もあると指摘している。

by Alan Beattie

(c) The Financial Times Limited 2010. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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