[FT]中国「影の銀行」リスクで甦る過去の記憶

2014/2/5 14:15
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中国最大の中国工商銀行が販売した高利回りの理財商品が1月末、債務不履行(デフォルト)の危機を回避した。市場では安堵と懸念が交錯した。

「もしデフォルトが起きれば、投資家が引き揚げ、『影の銀行』の仕組み全体が流動性不安から信用危機に陥る懸念がある。一方で、十分管理されたデフォルトは前向きな一歩となり得る」とJPモルガン・チェースのエコノミストは顧客向けリポートでこう述べた。

中国工商銀行(ICBC)はデフォルトを回避した=ロイター

中国工商銀行(ICBC)はデフォルトを回避した=ロイター

今後、規制のゆるい信託会社などでデフォルトの可能性が高まると指摘。こうした会社は人為的に低く抑えた預金利率に比べて魅力的な高利回り商品を提供している。

当局が何もしなければ、理財商品は少しでも高い利息を稼ごうとする家計から資金を集め続け、その資金は不動産開発のような分野に流入するだろう。デフォルトの可能性とバブルの可能性の両面から中国社会の安定を脅かしかねない。

■1998年の前例に似る

中国にはデフォルトの前例がある。1998年の出来事は記憶から薄れているが、現在の中国の状況にそっくりだ。当時の朱鎔基首相は広東省の外貨調達会社、広東国際信託投資公司(GITIC)の破綻処理を決めた。GITICは投資家から集めた資金を不動産などで運用し、当時のノンバンクの中でも乱脈経営が際立っていた。

同社は海外から受けた1億2000万ドル(約120億円)の融資の返済に行き詰まり、中国の大手金融機関として初めて正式な破産に追い込まれた。さらに数百社の信託会社の破綻につながった。

そして今、中国では同様の疑問が持ち上がっている。

「Red Capitalism(赤い資本主義)」の著者の一人であるカール・ウォルター氏は、現在の影の銀行について「今のところ中国人民銀行がすべてを支えている」と指摘。さらに、猿を怖がらせるには見せしめとして鶏を殺す必要があるという中国のことわざを引き合いに出して「2、3社はつぶさなければならない。その準備は整ったようだ」と語った。

15年前とは違い、今や中国が何を実行し、何を実行しないかは世界にとって大問題だ。

世界金融危機の後、中国の銀行とノンバンクを合わせた融資総額は国内総生産(GDP)の180%に達した。だがここに来て中国は急速な信用拡大に歯止めをかけようとしている。中国国内での資本調達や、中国から外国への融資の費用が上がれば、世界的な流動性の収縮が進みかねない。

By Henny Sender

(2014年2月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2014. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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