2018年6月23日(土)

[FT]タイ民主主義は三流に 国民に選挙を(社説)

2014/2/4 14:00
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 時の政権が自由で平等な選挙を妨害するというのが、二流の民主主義国での通常の状況だ。二流から急速に三流になりつつあるタイでは、民主的プロセスを崩壊させようと必死になっていたのは野党だ。

 不幸にも、先週末実施された総選挙は、タイの政治が陥った難局に終止符を打つ効果はほとんどなかった。ステープ元副首相が率いる反政府派は選挙を拒否しただけでなく、他の多くの人の投票も阻止した。選挙区の11%で投票が妨害された。有権者は暴力の脅威により権利を行使できなかった。これは普通、独裁政権が取る暴力的な戦略で、国民の代表を自任する者がやることではない。

投票が中止になったことに抗議する有権者を押し返す警察官(2日、バンコク)=ロイター

投票が中止になったことに抗議する有権者を押し返す警察官(2日、バンコク)=ロイター

 国外逃亡中のタクシン元首相の本拠地である北東部では、投票は通常通り行われた。

■経済成長が犠牲に

 こうした状況はタイの民主主義だけでなく経済にも悪影響を及ぼす。タイの投資家はこの数カ月間、株式から資金を引き揚げている。観光客の数も減少、消費者や企業の景況感は急速に悪化している。政治空白は数カ月間続く恐れがあり、政府は首尾一貫した財政政策を実施できなくなるだろう。これにより中央銀行はすべての責任を負わされ、利下げを実施せざるを得なくなる可能性がある。今年の経済成長率は当初4.5%と予想されていたが、3%に届かないかもしれない。

 現在は主にドバイに居住しているタクシン氏に忠実な政権に非がないとはとても言えない。インラック首相率いる政権は、兄の過去の罪をなくし帰国に道を開く法律を成立させようとして失態を演じた。コメの買い上げ制度もひどい発想だった。

 それでも、どちらの責任が大きいかと言えば、反政府派の方にはるかに非がある。20年以上選挙に勝てず、民主主義自体を崩壊させようと心に決めているように見える。

 インラック政権が有権者に賄賂を渡していると非難しているが、金を払って投票させているという意味であれば、その疑惑を法廷で立証すべきだ。コメの買い上げや低額医療といった政策で支持者に報いているという意味であれば、民主政治の本質を誤解している。選挙の勝利者は支持者に報いるものだからだ。政策が国民にとってよくないものであれば、街頭ではなく議会で議論すべきだ。それが民主主義の進め方だ。

 また、野党は選挙で選ばれていない「国民会議」が国を動かすという実現不可能な要求も取り下げるべきだ。

(2014年2月4日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

(c) The Financial Times Limited 2014. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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