2019年9月21日(土)

[FT]シリア情勢で賭けに出たオバマ氏(社説)

2013/9/2 14:00
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(2013年9月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

もしもキャメロン英首相が先週、英下院で行ったシリア軍事介入を認める政府議案への採決をやり直せるならば、オバマ米大統領の発表を待ってからにしただろう。オバマ氏は週末に軍事介入への承認を議会に求めることを決めたが、それを思いついたのがキャメロン首相の予期せぬ失敗の前か後かは今となっては定かでない。

シリア軍事介入の承認を議会に要請するとしたオバマ大統領(8月31日、ホワイトハウス)=AP

シリア軍事介入の承認を議会に要請するとしたオバマ大統領(8月31日、ホワイトハウス)=AP

たとえ言い逃れだと批判される恐れがあっても、オバマ氏が議会のお墨付きを得ようとするのは正しい。さらに、範囲を狭めた限定的な軍事行動への承認を求めたのも正しい。しかし、シリア問題についてより広範な戦略を議会に説明する大仕事をやってのける必要がある。明確に説明できなければ、同氏が必要とする両院での過半数の支持獲得が危うくなるかもしれない。上下院いずれかで否決されると、大統領の立場に重大な打撃を与えるだろう。

米国主導の国際的な軍事行動を起こす根拠はいっそう強まっている。8月にサリンガスで少なくとも1000人の市民を殺害したアサド政権は、最も基本的な人道上の規範に背いており、再度使用する可能性もある。非難と積極的に行動する姿勢を世界が示さなければ、アサド政権とその支持者をつけあがらせるばかりだ。キャメロン氏の不手際とは対照的に、オバマ政権は限定的かつ懲罰的な攻撃を一貫して力強く主張してきた。オバマ氏が声明に用いた言葉だけを見ても、現実的なスピードで(できれば来週中にも)米議会の支持を取り付けるのに値するだろう。

■大統領はシリア戦略をより明確にすべき

その一方で、オバマ氏は今後の道筋をより明確に示す必要がある。声明では議会の承認を「必要とする」のではなく「要請する」としているが、これは2011年のリビアへの軍事介入で、大統領権限を逸脱していないと述べたのと対照的だ。採決の結果にかかわらず、オバマ氏は攻撃を断行するとほのめかす政府高官もいる。だがそれは間違っている。大統領が原則に従って賭けに出たのは正しく、それは守らなければならない。

第2の懸念は、シリア問題での立場を巡るオバマ氏の戦略そのものだ。攻撃理由を化学兵器に限定するのはもっともだが、政権交代の議論は今後強まる一方だろう。アサド氏は米国の攻撃に何らかの形で反撃してくる可能性が高い。もはや万全と思われる選択肢はない。オバマ大統領にとってプラスに働くのは、ロシア・サンクトペテルブルクで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議などで外交努力を重ねる時間を稼いだことだ。それもいちかばちかの賭けになるだろう。しかしオバマ氏は少しでも有利な選択肢を編み出すため、辛抱強く努力する必要がある。

(c) The Financial Times Limited 2013. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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