米、アジア重視に暗雲 中東情勢予断許さず

2013/1/15 3:30
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2期目に入るオバマ政権はアジア重視を継続するものの、その看板通りに進むかは予断を許さない。大きなリスクは中東だ。

イスラエルとの軍事衝突の懸念があるイランの核問題は依然、進展の糸口がみえない。泥沼化するシリア情勢も同様だ。停戦合意したイスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織「ハマス」の緊張も続く。

ブッシュ前政権への批判を背に誕生したオバマ政権がアジアに軸足を移すのは必然といえた。アフガニスタンとイラクの2つの戦争は米国に戦争疲れをもたらした。オバマ大統領のアジア重視にはその負の遺産との決別のメッセージがある。

経済的な要因もある。米経済が低迷するなか、財政赤字は過去最高に達し、オバマ政権は国防費の大幅削減を求められる。財政事情をみても米国が世界の警察官役として各国ににらみを利かし続けるのはもはや難しい。

今年早々に結論を迫られそうなのがイランの核問題だ。イランは春から夏までに核兵器製造に必要な量の高濃縮ウランを確保するとみられている。核の脅威にさらされるイスラエルは軍事行動を検討しており、それが現実になれば、中東情勢は一変する。

イランも欧米の制裁が経済を直撃しており、イスラエルが武力行使を自制したとしてもイランが暴発する可能性も否定できない。米国がアフガンとイラクの2つの戦争に注力している間に東アジアでは軍事、経済の両面で中国が台頭した。

その反省に立ったはずの米国が再び中東に労力を奪われるような事態は南シナ海の海洋権益問題をはじめ中国のさらなる突出につながる。オバマ政権が打ち出したアジア重視の看板倒れは米中関係を含めた世界の政治、経済の版図を塗り替えることにもなる。

(ワシントン=吉野直也)

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