テロ再び激化も 世界各地でアルカイダ組織連携
ビンラディン容疑者殺害

2011/5/2付
保存
共有
印刷
その他

米軍が殺害したウサマ・ビンラディン容疑者のプロフィルは…

米軍が殺害したウサマ・ビンラディン容疑者のプロフィルは…

【ドバイ=中西俊裕】ウサマ・ビンラディン容疑者の殺害により、直接の指示に基づく新たなテロの懸念はひとまず後退した。だが、同容疑者が築いたテロ組織アルカイダは世界各地の独立組織が緩やかに連携していることが特徴だ。第2、第3のビンラディン容疑者が、遺志を引き継ぎテロ攻撃を激化させる恐れは残る。

2001年の米同時テロを受けテロとの戦いを掲げてきた米政権にとって、ビンラディン容疑者の殺害は2003年のイラクのフセイン元大統領の拘束(06年死刑執行)以来の外交上の得点となる。しかし、その後中東和平の停滞が続くほか、欧米などでのテロ未遂事件が起きるなどアルカイダによるテロの危険は依然封じ込められていないのが現状だ。

米同時テロ以降の経過
2001年

9月11日

米同時テロ発生、約3千人死亡
15日ブッシュ米大統領が「ビンラディンは最重要容疑者」と言明
10月7日米英軍がアフガニスタン攻撃開始
9日国際テロ組織アルカイダが対米報復を宣言
12月7日アフガンのタリバン政権が消滅
02年

10月12日

インドネシア・バリ島で爆弾テロ、日本人夫婦を含む観光客ら約200人死亡
03年

3月1日

アルカイダのナンバー3モハメド被告を拘束
3月20日イラク戦争開始
4月9日バグダッド陥落、フセイン政権崩壊
8月19日バグダッドの国連事務所で爆弾テロ、デメロ国連事務総長特別代表ら24人死亡
04年

3月11日

マドリードの3駅で列車爆破テロ、約200人死亡
05年

7月7日

ロンドンの地下鉄3カ所、バス1台で同時テロ、50人以上死亡
06年

12月30日

イラクのフセイン元大統領の死刑執行
11年

5月1日

ビンラディン容疑者死亡とオバマ米大統領が発表

(注)現地時間=共同

今回の中東での民主化デモの連鎖が起きる前も、イエメン系米国人の過激派が米当局の監視の目を逃れてイエメン国内に逃げ込んだ。ドイツでもアルカイダ系の過激派が拘束されるなど国際的に張り巡らしたネットワークは不気味な存在感を示している。先月にもモロッコで大規模爆破が起き、アルカイダの関与が疑われている。

そうした中、ビンラディン容疑者の殺害が対テロ戦争にどれだけの"武器"となるかは未知数。

現在のアルカイダにとってビンラディン容疑者は象徴的な存在の側面が強かった。小規模の「細胞」単位でテロを計画・実行するのがアルカイダの特徴で組織壊滅は容易ではない。

米国とイスラム世界の亀裂はむしろ深まっている。民衆レベルでの嫌米感情が拡大し、過激派の主張が通りやすく武器や実行犯が集まる環境はなお強い。

中東の多くの国は人口爆発に直面するが、原油依存の経済構造転換が遅れ、若者に十分な職を提供できずにいる。中東の民主化運動が高まった後、非産油アラブ諸国では経済的な閉そく状況はさらに深まり、過激派を生み出す土壌が一層強まる。

米国がイスラム過激派の追及を強めるほど、反米感情を駆り立て活動が活発になるという悪循環で対テロ戦争が泥沼化する恐れもある。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]