全日空社長「787、経営に大きく貢献」 米で引き渡し式 - 日本経済新聞
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全日空社長「787、経営に大きく貢献」 米で引き渡し式

【エバレット(米ワシントン州)=小高航】米ボーイングと全日本空輸は26日、最新鋭旅客機「787ドリームライナー」の初号機の引き渡し式典をワシントン州の主力工場で開催した。燃費を2割改善する画期的な機体ながら、開発トラブルが相次ぎ納入が予定より3年強遅れた。全日空の伊東信一郎社長は「難産だったが、大きく育てる」と念願の初号機納入を喜んだ。

式典は787を生産する主力エバレット工場の屋外で開催された。時折激しい雨が降るなかでも、ボーイングと全日空の社員や関係者ら数千人が参加した。

機体に「ANA」「787」とペイントされた機体がけん引されて登場。伊東社長が「この美しい飛行機はボーイングと協力会社、全日空の努力の結晶」とあいさつした。ボーイング首脳が伊東社長に初号機の「カギ」を引き渡すと、大きな拍手に包まれた。

初号機は当初、2008年5月に全日空に引き渡される計画だった。ボーイングのジム・マクナーニー最高経営責任者(CEO)は式典で「オマタセイタシマシタ」と日本語であいさつ。伊東社長が苦笑する場面もあった。

初号機は27日早朝(日本時間同日深夜)に全日空の伊東社長を乗せ日本に出発し、羽田空港に28日朝に到着する予定。まず国内便で活用し、徐々に国際便などに活躍の場を広げる。

全日空は計55機の787を発注済み。伊東社長は式典後、記者団に「787は中型機ながら航続距離が長い。これまで採算が採れなかった路線での就航も可能になり、今後、経営戦略上、大いに貢献してくれる」と歓迎した。

ボーイングは式典に先駆けて、787の機内と生産ラインを報道陣に公開した。機内は窓が従来より大きいほか、荷室や足元の空間も広く取ってある。同行した全日空の客室乗務員は「従来より湿度を高く保てるなど、顧客が快適に過ごせる」と喜んでいた。

一方、工場内の生産ラインには三菱重工業が納入した主翼など日本製も含めた部材が所狭しと並ぶ。787は世界の航空会社から800機以上の受注を受けている。当初は月2機の生産ペースを徐々に月10機まで引き上げる計画だ。

787は炭素繊維複合材の多用など最新技術を集結し、機体の軽量化と燃費改善を図ったボーイングの意欲作。しかし初めての試みも多く、設計ミスや不具合が続出。当初は2008年5月に全日空に初号機を納入する計画だったが、計7回もの延期を迫られた。

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