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緩和強化、ウォール街デモ収束できず(NY特急便)

米州総局編集委員 藤田和明

21日のダウ工業株30種平均は283ドル安と急落。米連邦公開市場委員会(FOMC)が「ツイスト・オペ」を発表したのは2時すぎ。金融緩和の強化策だが、市場の事前予想の域を出なかったとして、大引けにかけて値を崩していった。

「ウォール街を占拠する」。ツイッター交流サイト(SNS)の呼びかけで集まった若者たちのデモが5日目に入った。ウォール街そばのズコッティ公園に座り込み、ニューヨーク証券取引所の前で行進を繰り返す。

「銀行救済より仕事を」「ウエルスケア(金持ち優遇の意味)をやめろ」と怒りをぶちまける内容が中心だ。ただ中には「(銀行と証券業務の垣根を定めた)グラス・スティーガル法で再強化を」「高頻度取引に規制を」といったウォール街の構造問題を問いかけるものも混ざっている。

今のところ居座り組は数百人の規模で、暴徒化する気配もなさそうだ。ただ、金融機関のビルに侵入しようとして逮捕者が出るなどエスカレートする例も出てきた。

実体経済を底割れさせないために、銀行を救い、金融システムを安定させる大胆な策をとった3年前。しかし失業率は高いままで住宅価格も下げどまらない。いっこうに景気回復の実感がわかない中低所得層の不満が、再び、金融街を狙ったデモとして浮き上がっている。

それこそが、今の米連邦準備理事会(FRB)が実感しているジレンマともいえる。バーナンキ議長は6月、景気回復の鈍さを「いらだたしい」と表現した。量的緩和第2弾(QE2)の成果に疑問符が付き、さらなる資産拡大にFRBは踏み込めない。苦肉の策が今回のツイスト・オペだ。

ツイスト・オペには副作用も指摘される。低金利の定着が「年金の運用を圧迫しかねない」と米ピムコのビル・グロース氏は米メディアに語った。長期金利を無理に押し下げると、市場が先行きの経済成長や物価をどこまで期待しているかが読みにくくなるとの声もある。

ツイスト・オペは、初めて実施した61年に流行していた腰をひねった踊り、ツイストが語源とされる。折しもいま、60年代の米国を扱ったテレビ番組「マッドメン」が人気だ。金融政策まで流行に乗るのかとの揶揄(やゆ)さえ市場から聞こえる。

「もちろん、やらないよりずっといい。しかし経済の刺激効果が限られていることも見えている」(DBアドバイザーズのジョシュ・フラインマン氏)。金融政策は市場参加者の心理に働き掛ける。市場に見透かされれば政策効果そのものがそがれてしまう。少なくとも、ウォール街のデモに立つ人たちが満足して帰宅できる政策カードではなかった。

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