「これ以上の喜びない」ノーベル経済学賞2教授会見

2011/10/11付
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【ニューヨーク=西村博之】ノーベル経済学賞の受賞が決まった米プリンストン大のクリストファー・シムズ教授(68)と米ニューヨーク大のトーマス・サージェント教授(68)は10日、プリンストン大でそろって記者会見した。シムズ教授は「これ以上の喜びはない」と述べた。サージェント教授も「この分野が認知されてうれしい」と発言。ともに互いや関係者の貢献に謝意を示し、研究内容が米国などを取り巻く困難な経済情勢の解決に役立てばと期待を示した。

両教授とも控えめな学者肌。言葉少なで、記者から質問が飛ぶたびに、「トム、どうぞ」「いやクリスが」と、互いに返答を譲り合う光景が繰り広げられたが、二人ともユーモアにあふれ、笑いが絶えない会見だった。

冒頭、シムズ教授はサージェント教授との関係について「共同で研究しているというより、常に論争している間柄だ」と表現。「トムの当初の間違いについて、ゆっくりと説得するのに成功しつつあるけどね」と述べ会場を沸かせた。

サージェント教授も、「クリスは私の論文に『この記述には大きな欠陥がある』といったコメントを大量に書き込み、最後に『私がこの論文に否定的だという印象を受けるかもしれないが、そうではない』と付け加える。それで多少希望がわく。セミナーでも、ぼろぼろに非難する。その最中は気持ちよくないが、きょう振り返ると、とてもすがすがしい気分だ」と指摘。長年にわたる論争を経て芽生えた信頼感をうかがわせた。

受賞の連絡が来たときの様子を聞かれ、シムズ教授は「6時15分に電話が入り、電話のそばに寝ていた妻が、ボタンを押し損なって切れてしまった」と明かした。いたずら電話と思って再び寝入ったら、また電話がかかってきて受賞を知ったという。

一方、サージェント教授は「電話がかかってきて、シムズ教授の居場所を聞かれた」と発言。会場は笑いに包まれた。

両氏は受賞対象になった研究を通じ、中央銀行の金融政策や政府の税財政運営のマクロ経済政策が経済成長や物価に与える過程を解明した。

今の米国にどんな政策が有効かを問われ、シムズ教授は、厳密に回答するには注意深い検討やデータの解析が必要だと断りつつ「バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長がいうように財政健全化への長期の計画とともに、足元では急速な緊縮政策を避けるのが必要との点で経済学者はほぼ一致する。問題は現実の世界でそれが可能かだ」と指摘した。

シムズ教授は、受賞理由となった研究が「われわれが現在の困難な経済状況から脱却する上で希望になりうる」と期待を表明。サージェント教授も、研究してきた経済モデルの構築について「世の中をよくするための壮大な事業である」と述べた。

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