低価格iPhone「5c」など20日発売 ドコモも参入
アップル、後継機「5s」も発表
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルは10日、スマートフォン(スマホ)「iPhone(アイフォーン)」の新型2モデル、「5s」と「5c」を20日に日米中など9カ国で発売すると発表した。アップルが新型スマホを2モデル同時発売するのは初めて。いずれも現行「iPhone5」の後継機で、最上位の5sに対し、カラフルな本体が特徴の5cは価格をやや抑えた。NTTドコモが販売先として加わり、大手3社すべてがiPhoneを販売する。端末価格や通信料金の値下げ競争が激しくなる可能性もある。
カリフォルニア州クパティーノ市のアップル本社で開いた発表会で、ティム・クック最高経営責任者(CEO)は「iPhone5に代えて、2つの新製品を出すことにした」と説明。ゴールドなど3色をそろえた5sと、カラフルな5色の5cを販売する。

iPhoneはアップルの売上高の50%超を占める主力製品だが、昨年9月に発売したiPhone5で地図表示ミスなどが起きたほか、新興国で本体価格が200ドルを切るような低価格機が急成長。アップルの革新性や成長性を疑問視する声が上がり、先進国のアップル製品ファンだけでなく、新興国を含め、幅広いユーザーを獲得するために価格の多様化が不可避となっていた。
当初、5cは"廉価版"となり、新興国の低価格機と競合する切り札になるとみられていたが、10日発表した新型機は、米国での本体価格が記憶容量16ギガ(ギガは10億)バイトの5sで649ドル(約6万5千円)、5cが549ドル(約5万5千円)。5cは新興国を席巻する低価格機とは一線を画した形だ。2年契約を前提とした価格は16ギガの5sが199ドル、16ギガの5cが99ドルとなる。
日本国内では携帯事業者の最大手、NTTドコモがソフトバンクモバイル、KDDIに続いてiPhone販売に乗り出すことで、大手3社すべてがiPhoneを販売する形となる。2008年にソフトバンクがiPhoneを発売して以来、NTTドコモは利用者の流出が続いており、iPhone販売で利用者のつなぎ留めに全力を挙げる。
ドコモがiPhoneを導入することで3社の競争の構図は大きく変わる。ただ各社が横並びでiPhoneをそろえると端末価格や通信料金の値下げ競争が激しくなり、消耗戦に発展する可能性もある。ドコモはコンテンツの販売やネット通販などの周辺サービスを新たな収益源として育て、今後の競争で優位に立ちたい考えだ。
ソフトバンクモバイルも11日午前、「iPhone5c」と「5s」を20日に発売すると発表した。予約受け付け開始は「5c」が13日午後4時から、「5s」は「未定」(広報室)。KDDI(au)も同様にiPhoneの新型2モデルを20日に発売する見込み。
アップル | サムスン | ||
機種名 | iPhone5s | iPhone5c | ギャラクシーS4 |
基本ソフト | iOS7 | iOS7 | アンドロイド4.2 |
本体サイズ(ミリメートル) | 123.8×58.6×7.6 | 124.4×59.2×8.97 | 137×70×8 |
重さ(グラム) | 112 | 132 | 134 |
画面 | 4型レティーナ液晶 | 4型レティーナ液晶 | 5型有機EL |
背面カメラ(画素) | 800万 | 800万 | 1300万 |
米国販売価格 (16ギガバイト、2年契約時、ドル) | 199(本体価格は649) | 99(本体価格は549) | 199 |
主な特徴 | 指紋認証機能 | 本体色が5色 | 音声や手の動きで入力 |