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アップル再び最高値、狂想曲いつまで(NY特急便)

米州総局・川上穣

3日のダウ工業株30種平均は前日比64ドル安と反落した。米量的緩和第3弾(QE3)への期待感が後退し、午後の取引で下げ幅は一時130ドルを超えた。

全体に利益確定売りが目立つなか、逆行高になった銘柄がある。世界最大の時価総額を誇るアップルだ。一時前日比2%高の632ドルまで上昇し、過去最高値を再び更新した。

「アップル株は2014年に1000ドルに達し、時価総額は世界で初めて1兆ドルに達する」。米投資銀行パイパー・ジャフレイが出したリポートが、株価を一段と押し上げた。別の証券会社が前日、今後1年の目標株価を1001ドルに設定したばかり。アップル担当のアナリストたちも、ほぼ強気一色になっているようだ。

年初からのアップル株の高騰ぶりはすさまじい。上昇率は5割超。時価総額は約5800億ドル(約48兆円)に達した。今年の増加分(約2000億ドル)だけで、ソニーを約10社分買える計算になる。

米市場で史上最高の時価総額は、IT(情報技術)ブームの絶頂期である1999年にマイクロソフトが記録した約6200億ドル。アップル株の今の勢いが続けば、記録の更新も時間の問題かもしれない。

興味深いのは、アップル株を持つ投資家が多岐にわたるという事実だ。大株主に名を連ねるのは、米ブラックロックなど世界の運用大手。加えて「空売り」で知られるデービッド・アインホーン氏など、有力ヘッジファンドも以前からアップル株を買い持ちしている。

海を越え、日本の個人マネーの売買も増えている。時価総額で世界最大の企業の株価が、わずか3カ月で5割も上昇したという事実。米国の枠を超え、世界中から新規マネーが流入している可能性は高い。

これだけの熱狂にもかかわらず、株価は割高だとする向きは限られる。株価が1株利益の何倍まで買われているかを示す予想株価収益率(PER)。アップル株は約14倍と、米市場平均(約13倍強)とほぼ同水準。業績で株価を説明できない2000年前後のITバブル時のような割高感はない。

米国ではスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」を保有する人の94%が、買い替えの際もiPhoneを選ぶと、昨年の民間調査で回答した。アップルTVなどの新製品の販売も予想され、「今後3年で1株利益は年率平均で2割の伸びが続く」(パイパー・ジャフレイのアナリスト)。3月に表明した配当や自社株買いなど株主配分の復活も追い風だ。

米金融の追加緩和の可能性をにらみ、投資家心理は不安定に揺れ動く。そうしたマクロ環境にも動じず、一本調子の上昇を続けるアップル株。ダウ平均で見て約4年ぶりの高値圏で推移する米株市場の行方はここにかかっている。

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