トウモロコシのエネルギー利用削減を 米畜産団体が要請
大規模な干ばつで米穀物相場が高騰するなか、「食料・飼料用」と「エネルギー用」のトウモロコシ争奪戦が米国で深刻になってきた。全米19の畜産関連団体は30日、ガソリンに混ぜるエタノールの使用を求める規制を緩和し、エネルギー向けトウモロコシ需要を減らすよう米環境保護局(EPA)に要請した。
現行規制では2015年にエタノールの使用を150億ガロン(1ガロン=約3.78リットル)まで伸ばすよう求めている。この規制に従えば、今年は収穫量の約4割にあたる49億ブッシェルのトウモロコシがエタノール生産に使われる見通し。
これに対し畜産関連団体は、エタノールの使用規制を1年間にわたり全面停止、もしくは規制で定めた使用量を減らすよう求めた。全米豚生産者評議会は「エタノール需要を抑えなければ、干ばつの影響で今年から来年に飼料用トウモロコシは供給難に陥る」と指摘。全米飼料協会のサラ・ノバック氏も、トウモロコシの高値と供給難から「破綻する業者が出かねない」としている。
約半世紀ぶりとされる米国の干ばつの影響は、今月末ごろに被害規模が判明してくる見通し。同規制の動向が穀物相場に影響を与える可能性もありそうだ。(シカゴ=野毛洋子)