2019年7月17日(水)

米メキシコ湾原油流出、4州で非常事態宣言
英BP株価急落、時価総額2兆円減

2010/5/1付
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【ロンドン=石井一乗】米南部ルイジアナ州沖のメキシコ湾上で4月20日に爆発炎上した石油掘削基地からの原油流出の影響が深刻化してきた。事故現場に近いルイジアナなど南部4州は非常事態宣言を出して警戒に当たっている。流出阻止作業は難航しており、原油掘削を手掛けていた英BPは株価が急落、10日間で時価総額約2兆円を失った。

この状況が長期化すれば、1989年に米アラスカ沖で起きたタンカーの原油流出事故に並ぶ過去最悪の事故になる。4月30日までにルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ、フロリダの各州は非常事態を宣言。4州で大規模な汚染被害が懸念されている。

沿岸経済の懸念も広がっている。英紙フィナンシャル・タイムズによるとルイジアナ州のエビやカキなどの漁業は24億ドル規模の産業で、原油流出が打撃を与える可能性もある。米メディアは1日、オバマ米大統領が2日に、ルイジアナ州などメキシコ湾沿岸地域を訪問すると伝えた。

原油価格も上昇し、ニューヨーク原油先物相場は4月30日、約3週間ぶりとなる86ドル台を記録した。米経済指標の回復が主要因だが、事故を受けて在庫が減るとの見方から投機資金の流入につながったとの指摘もある。

BPによると原油流出量は当初見込んでいた日量1000バレルの5倍に膨らんでいる。この勢いが続けば、50日強で過去最悪の流出事故とされるアラスカ沖事故の流出量(約26万バレル)に並ぶ。1日当たりの流出量はさらに大きいとの報道もある。

BPなどは多数の船舶や人員を動員して油の拡散防止などに当たっているが、タンカー事故と異なり油田そのものからの流出のため、短期間で漏出を食い止めることが急務になっている。

BPのヘイワード最高経営責任者(CEO)も「漏出防止や環境への影響を食い止めるためできることは何でもやる」と話す。ただ海底油田に無人ロボットを送り込み流出元の遮断を試みているものの、成功していない。

BPの株価は事故発生の4月20日から10日間で12%下落。時価総額がほぼ2兆円吹き飛んだ。BPによると現在の作業だけで1日に600万ドル(6億円弱)の費用が発生、今後は大きく膨らむ見通しだ。市場関係者からは「総費用は最大35億ドル程度になる可能性がある」(モルガン・スタンレー)との指摘もある。100億ドル以上に膨らむとの見方もある。

メキシコ湾では水深1000メートルを超す海底での「超深海油田」と呼ばれる油田開発が相次いでおり、BPは同地域で最大の油田権益を有する。最大手のエクソンモービルや英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなども同湾地域の油田開発を進行中。米政府も海底油田の新規採掘などを認める計画を発表したばかりだが、事故を受け計画が見直される事態になれば、欧米メジャーの経営戦略が修正を迫られる可能性もある。

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