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中国の不動産バブル懸念膨らむ 6月、大手銀融資3割増

【香港=戸田敬久】中国大手銀行の地方政府系投資会社向け融資が急増している。中国大陸系7行の6月末時点の残高は40兆円規模で、上位5行では昨年末比3割超増えて34兆8000億円に拡大。各行とも融資全体の1割前後に上っており、既に一部で返済や利払いが滞る事例も出始めている。こうした融資は不動産の開発権を担保としているケースも多く、バブル懸念が一層深刻化してきた。不良債権化が進めば中国の金融システムにも影響する可能性がある。

香港市場に上場する主要な中国大陸系銀行の
2011年1~6月期決算は軒並み2ケタ増益

(単位:億元、増減率%)
純利益前 年
同期比
増減率
地  方
政 府 系
投資会社
向け融資
昨 年
末 比
増減率
中 国
工商銀
1,096299,31045
中 国
建設銀
930315,8007
中国銀665285,31541
中 国
農業銀
667455,30033
交通銀264303,08373
中信銀15041約1,55048
中 国
民生銀
139571,721▲13

(注)地方政府系投資会社向け融資は6月末時点、中信銀行の増減率は3月末比。▲はマイナス

2011年1~6月期決算記者会見などで明らかになった。決算をみると、運用商品の販売など手数料ビジネスの好調が目立つ。金など貴金属の取扱量が急拡大し、富裕層向けのプライベート銀行部門の収入も急増した。

足元は増益

これを受けて各行とも足元で軒並み2ケタ増益を確保。中国商業銀行最大手の中国工商銀行の純利益は1096億元(約1兆3200億円)と前年同期比29%増、中国建設銀行は31%増加した。

一方、地方政府系投資会社向け融資残高は中国工商銀行の9310億元がトップで、10年末から45%増えた。中国銀行は41%増の5315億元、中国農業銀行は33%増の5300億元と大幅な増加が目立つ。上位5行の総額は約2兆9000億元に達した。

不良債権化を警戒して監視強化を探る中国銀行業監督管理委員会が地方政府系投資会社向け融資の定義を広げたことが、数字のうえで残高を大きくした面もある。決算会見では「直近に非営利法人向けなども残高に含めるように指導を受けた」(交通銀行)と説明した。だが、市場では「地方政府との間で公表せずにいた不透明な融資をここにきて開示した疑念が深まった」(外資系金融機関)との声も強い。

これまで地方政府系投資会社は、直接調達できない地方政府に代わり銀行などから融資を受け、インフラ整備や不動産開発を手掛けてきた。不動産価格が上昇していた局面では、投資会社が開発利益と調達資金を元手に新たな開発を加速し、中国の経済発展のけん引役の一つとなってきた。

だが、世界金融危機による外需減を懸念した中国政府が08年末に策定した4兆元の景気刺激策の実施以降、環境は急変。中央政府が地方政府にも資金負担を求めたため、投資会社経由の調達が急拡大し、中国当局によると投資会社の融資残高は10兆~13兆元と中国の国内総生産(GDP)の3割程度に達した。

2、3年後リスク

大半の銀行は決算会見で、地方政府系投資会社向け融資について「担保設定や一部貸し倒れ引き当てしており、大きな問題にならない」(中国建設銀行)と強調。だが、交通銀行の銭文揮副頭取は「返済原資を(事業でなく)政府の財政収入に依存している投資会社には問題がある」と指摘し「6社の投資会社向け融資の4億元強を不良債権に認定した」と明かした。潜在的なバブルリスクを認めたものだ。

地方政府は投資会社の資金調達の担保に不動産の開発権を設定しているケースが目立つが、不動産価格の下落で開発がストップすれば、担保価値が大きく損なわれることになる。「投資会社の問題が顕在化するのは、融資の返済時期が集中する2~3年後」(国内証券)との指摘も出ている。

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