米国務長官、機密流出は「世界の安全保障への攻撃」
ホワイトハウス、管理体制の見直し指示
内部告発ウェブサイト「ウィキリークス」に25万点超の米政府文書が流出した問題で、米ホワイトハウスは機密情報の管理体制を徹底的に見直すよう全省庁に指示した。米行政管理予算局(OMB)が29日、前日付で出した通達を公表。大量の機密公電が流出した国務省ではクリントン長官が記者会見し「世界の安全保障への攻撃」と非難し、再発防止に全力を挙げると述べた。
通達では各省庁に情報分野の専門家によるチームを新設し、機密情報の管理方法を総点検するよう命じた。情報へのアクセス権限の見直しや、持ち運びが可能な記録媒体へのデータのダウンロードを大幅に制限することを柱に検討する。
ウィキリークスは25万点超の文書について28日から順次公表を開始。各国首脳や政府高官の発言を記した機密公電を含んでいるため、世界的に問題が広がっている。米主要メディアによると、米軍の情報分析官が国防総省のシステムからデータをダウンロードした可能性があるという。ギブズ大統領報道官は記者会見で「深刻な犯罪」と言明。ホルダー司法長官は、米当局が刑事捜査を進めていると明かした。
クリントン長官は会見で「米国の外交上利益のみならず、国際社会と同盟国、世界の安全保障と経済的繁栄を守るための対話と交渉への攻撃だ」と強調。「米政府として、非合法的な機密情報の公開を強く非難する」と述べた。公電公表に先立ち、10カ国以上の外相に電話で経緯を説明したことも明らかにした。
(ワシントン=弟子丸幸子)