独、再生エネ正念場 増える負担金、国民に限界
普及制度、抜本見直しへ

2013/1/29付
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 【フランクフルト=下田英一郎】ドイツ政府が再生可能エネルギーの普及制度の見直しに動き出した。家庭や企業の電気料金に上乗せしている普及コストの負担金の引き上げを2年間凍結するほか、負担金が際限なく増える現行制度を抜本的に見直す方針。制度見直しで再生可能エネの普及にブレーキがかかる可能性もあり、安定した電力供給に向けてドイツの苦闘が続きそうだ。

 アルトマイヤー環境相が28日の記者会見で明らかにした。現在の再生可能エネルギー法(EEG)では、一般家庭などが太陽光などで発電した電力について、地域の電力会社に買い取りを義務付けている。買い取り価格が欧州電力取引市場の価格を上回った場合は、差額を国民や企業に負担してもらう仕組みだ。

 割高な太陽光発電の急速な普及のため、負担金はここ数年、急増。電力業界の計算では、2013年は1キロワット時あたり約5.3ユーロセント(約6円40銭)と、12年比で5割増える。13年に約200億ユーロ(約2兆4000億円)を見込む負担金総額が、現行制度のままでは20年に2倍に膨れあがるとの試算もある。

 環境相は「国民負担も限界にきている」とし、14年の負担金は13年実績の横ばいとする考え。15年以降は2.5%の上昇にとどめるという。企業など大口需要家に対する負担金の軽減措置は縮小していく考えだ。

 独政府は8月にも関連法案を成立させ、見直しを実現したい考え。しかし、野党は反発しており、思惑通りに進むか微妙な情勢だ。

 再生可能エネの普及制度の見直しに動くのは、国民や企業が負担金の増加に不満を募らせているためだ。独メディアの世論調査では、国民の過半数が負担増に反対。産業界でも「これ以上の負担増は国際競争力にとってマイナスだ」との声が強まる。

 そもそも、EEGの制度設計に無理があったとの指摘は根強い。00年に導入されたEEGでは、地域の電力会社は太陽光で発電した電力を無制限で買い取らねばならない。再生可能エネが普及し続ける限り、コストは青天井で増えていく。

 独政府も事態を放置していたわけではない。太陽光発電設備の値下がりに合わせ、買い取り価格を順次引き下げてきた。しかし、買い取り価格引き下げの見通しが強まると、消費者の駆け込み需要が発生し、結果として負担金が増える悪循環に陥っていた面もある。

 再生エネ設備業界はEEGの見直しに反発を強める。ただでさえ、中国勢などとの価格競争が激化。12年には太陽光発電設備大手のQセルズが法的整理に追い込まれ、「勝ち組」とされたソーラーワールドも業績が急速に悪化している。「普及制度の見直しは致命傷になりかねない」(業界団体)との声も上がる。

 独国民の多くはメルケル政権が決めた原子力発電の廃止を支持する。再生可能エネの普及戦略が行き詰まったとしても、脱原発路線を転換するのは難しい。

 独経済に失速懸念が強まるなか、コスト増を避けながら、再生可能エネの普及をどう進めるか。年内に連邦議会選挙を控えるメルケル政権は難しいかじ取りを迫られる。

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