2019年1月21日(月)

台湾の奇美実業、液晶パネル事業から実質撤退

2012/6/29付
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【台北=山下和成】台湾の石油化学大手、奇美実業は液晶パネル事業から実質撤退する。筆頭株主である液晶パネル世界3位の奇美電子から全役員を引き揚げた。今後は第2位の株主であるEMS(電子機器の受託製造サービス)の世界最大手、鴻海(ホンハイ)精密工業が実権を握る。液晶パネル事業の低迷が長期化するなか、経営への関与を断念して鴻海に再建を託す。

奇美電子には奇美実業グループが約17%、鴻海グループが約11%を出資する。全役員のうち奇美グループ出身の3人が28日付で辞任した。一方、29日に開いた株主総会後の役員会で鴻海系の4人の役員が新たに就任、8人の全役員が鴻海系で占められた。

奇美電子の段行建・董事長は株主総会で「奇美実業は今後は経営に関与しないとの報告を受けた」と話した。総会後の会見では「経営の方向性は鴻海の郭台銘董事長と相談しながら決めていく」と表明、鴻海が経営の実権を握ることを改めて宣言した。

奇美実業は奇美電子の株式売却について「現時点で考えていない」としている。ただ奇美電子は7~9月期までに200億台湾ドル(約530億円)以上の増資を実施し、鴻海が一部を引き受ける予定。資本的にも奇美実業の存在感は薄れそうだ。

奇美実業はかつて「台湾独立」を主張し、親日家としても知られる許文龍氏が1960年に設立。家電製品のボディー材などに使うABS樹脂では世界大手だ。98年に奇美電子を設立し、液晶パネル事業に参入。ソニーや東芝など日本の電機大手にも広くパネルを供給している。

ただパネル業界の過剰生産などを受けて業績が悪化。2010年には鴻海グループの液晶パネル大手、群創光電と合併したが経営体質の違いもあって内部対立が続いていた。業績も低迷し、12年1~3月期は7四半期連続の最終赤字を計上した。

現在も奇美グループに影響力を持つ許氏だが、液晶事業への意欲は薄れたとみられる。昨年末には奇美出身の董事長が突然辞任した。今回の役員引き揚げで名実共に鴻海主導が確立することになる。鴻海が筆頭株主になる予定のシャープとも「液晶パネルの技術や原材料の仕入れ面で協力していきたい」(段董事長)といい、液晶パネル業界の再編などにつながる可能性もある。

ただ「鴻海流の厳格な経営を嫌う技術者が奇美電子から流出する可能性もある」(日系の装置メーカー)などの声も上がる。鴻海が奇美電子をスムーズに統率できるかどうかは不透明だ。

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