欧米諸国、シリア大使に国外退去要求 ドイツは安保理要請
【カイロ=押野真也】反体制派への弾圧を強めるシリアのアサド政権に対し、国際社会の圧力が一段と強まってきた。29日には欧米各国が自国に駐在するシリアの外交官に対して国外退去するよう要求。シリアを訪問しているアナン国連・アラブ連盟特使(前国連事務総長)はアサド大統領と会談し、政府に自制を求めるとともに、停戦案を履行するよう要請した。
シリア中部のフーラで25日以降、政府軍によるとみられる攻撃で100人以上が死亡。国連機関の調査では、犠牲者の大半は女性と子供で、銃殺されたとの見方を示している。
欧米各国は強く反発。ドイツやフランス、イタリアなど欧州各国のほか米国、カナダ、豪州は29日、自国に駐在するシリア大使や大使館職員、家族に対し、国外退去するよう要求した。
「シリア(政府)を代表する者は我が国は歓迎しない」(カナダのベアード外相)など、各国政府はアサド政権への批判を強めている。
豪政府は国際刑事裁判所(ICC)への告発や国連による制裁の可能性についても言及。オランド仏大統領とキャメロン英首相は電話でシリア情勢について協議し、欧米諸国やアラブ諸国などで構成する「シリアの友人会合」を早期にパリで開催することで合意した。 ドイツのウェスターウェレ外相は29日、シリア情勢を巡り国連安全保障理事会の緊急会合を開くよう求めた。
シリアを訪問しているアナン特使は29日、首都ダマスカスでアサド大統領と会談した。アナン氏は3月下旬に同氏が提案した停戦案を受諾しながら反体制派への攻撃を続けるアサド政権に対し、停戦案を履行するよう改めて要求した。
アサド大統領との会談に先立ち、アナン特使はムアレム外相とも会談。同外相は調停案を履行する意思があることを強調する一方、複数の国が反体制派に対して武器を提供していると非難した。名指しはしなかったが、ペルシャ湾岸の産油国などを念頭に置いた発言とみられる。
アナン氏は政権中枢との直接交渉で停戦を実現したい考えだ。ただ、政治的に結びつきが深いロシアはシリア政府を擁護する姿勢を崩しておらず、国際社会の足並みが完全にそろっているわけではない。欧米各国の圧力強化が功を奏すかは不透明な情勢だ。












