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南アフリカも利上げ 5年半ぶり、通貨防衛広がる

【ロンドン=上杉素直】南アフリカ準備銀行(中央銀行)は29日、政策金利を5.0%から5.5%へ引き上げると発表した。利上げはリーマン・ショック前の2008年6月以来、約5年半ぶり。新興国ではインドやトルコも28日に利上げしており、下落が目立つ自国通貨を防衛する政策対応が広がってきた。ただ、各国通貨の反発は限られ、先行き不安から欧米株も軟調に推移している。

南アフリカでは先週、主要産業の鉱山で大規模な労使紛争が発生。経常赤字の体質から抜け出せない同国で輸出が鈍れば、外貨獲得が難しくなるとの思惑から、通貨ランドが下落していた。

米金融緩和の縮小を背景にしたアルゼンチンのペソ急落を引き金に、幅広い新興国通貨に売りが拡大。各国で食料品を中心とする輸入品物価が上がる懸念が強まっており、各国当局はインフレ防止へ利上げなどの対応を急いでいる。

マーカス南アフリカ中銀総裁は29日の記者会見で「新興国経済が新たな課題に直面する転換点に差し掛かっている」と強調。08年秋の金融危機後、落ち込んだ景気を支えるために進めてきた南ア中銀の利下げ路線からの転換に理解を求めた。

一方、マーカス総裁は「経済成長の見通しには懸念が残っている」とも語り、南アフリカの経済運営の難しさにも触れた。同国はリーマン・ショック後のマイナス成長からは回復してきたものの、鉱山資源を軸とする00年代半ばの成長水準には届いていない。

同国経済は新興国の中では低成長にとどまり、高失業や治安悪化など社会の構造問題は深刻。通貨下落を招いた鉱山の労使紛争が長引けば、生産性が低下していく恐れも指摘されている。インフレ防止や通貨防衛に向けた利上げが、足元で停滞気味の景気を冷やしかねない、新興国に通じるジレンマを抱える。

もっとも、新興国通貨への売り圧力は足元で解消されていない。28日の大幅利上げで上昇したトルコのリラは1日足らずで利上げ決定前の水準まで逆戻りした。「南アフリカ中銀は必要ならば年内にあと3回、合計で2%の利上げに踏み切る」(英運用会社インベステック・アセット・マネジメント)と早くも追加措置を予想する声が出ている。新興国懸念が払拭できない悪循環から、29日の米株式市場は下落で始まった。

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