[FT]スピードが落ちた中国版新幹線

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2011/6/30 0:00
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(2011年6月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国の鉄道車両メーカー、南車青島四方機車車両(南車四方)のエンジニアたちは昨年、ある訪問者に新型の高速列車を「CRH380」と呼ぶのはなぜかと聞かれて笑った。もちろん営業運転の最高速度が時速380キロに達するからですよ、と彼らは答えた。

■時速300キロへの減速は正解

北京南駅に到着する中国高速鉄道の新型車両(6月27日、北京)=ロイター

北京南駅に到着する中国高速鉄道の新型車両(6月27日、北京)=ロイター

流線型の新型車CRH380(CRHはChina Railway High-speedの略)は今週、北京・上海間で商業サービスを始める。だが中国の鉄道官僚はこのネーミングを後悔しているかもしれない。

新サービスは世界最速となる時速380キロを記録するどころか、最高速度が時速300キロに制限されるからだ。それでも見事な速さだが、小声で付け加えれば、隣の日本で運転されている最も速い新幹線と変わらないのだ。

とはいえ、国家主義者たちは落胆するかもしれないが、列車のブレーキを踏む判断は称賛されるべきだ。

中国鉄道会社の幹部やエンジニアは、10年足らずで世界最大の高速鉄道網をつくり上げ、高速鉄道の世界市場で戦える勢力として台頭したことを誇りに思っている。

北京と上海を結ぶ高速鉄道の開通について発表する中国鉄道省の胡亜東次官(6月13日、北京)=共同

北京と上海を結ぶ高速鉄道の開通について発表する中国鉄道省の胡亜東次官(6月13日、北京)=共同

だが筆者が昨年のコラムで指摘したように、安全性への懸念や、380シリーズを生産する南車四方やその他の国内メーカーが最近取得した外国技術にどこまで依存しているかを巡る疑念が、こうした成功に影を落としている。

■安全性削って高速化?

今月、地元メディアに取り上げられた中国鉄道省高速鉄道部門の元幹部、周翊民氏の驚くほど率直なコメントが示している通り、心配しているのはシニカルな外国人だけではない。

周氏は時速380キロという目標と、最近まで中国のほかの幹線で導入されていた時速350キロの営業運転速度は、先に汚職で失脚した劉志軍・前鉄道相の命を受けた危険な「でっち上げ」だと述べた。

中国の政府高官や鉄道車両メーカーは、記録破りとなる運転速度を達成できたのは、日本の川崎重工業、ドイツのシーメンス、フランスのアルストム、カナダのボンバルディアから取得した技術を「消化」し、改善した結果だと主張している。

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