2019年2月19日(火)

[FT]小さな産油国シリアが原油価格高騰の震源地に

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2013/8/30 7:00
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(2013年8月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中東の標準からすると、シリアの石油産業は極めて小さい。内戦が3年目に入ろうとしている今、シリアの産油量はとっくの昔に微々たる水準に落ち込んでいる。

だが、シリア政権の責任とされている化学兵器の使用に応じて西側諸国が攻撃を協議し始めると、国際指標のブレント原油の価格はわずか2日間で7ドル、率にして6%以上も上昇した。

■空爆実施でさらなる価格上昇も

石油精製所で働く労働者。リビアの石油輸出は2011年の水準に比べ激減しているという(東部のブレガで)=AP

石油精製所で働く労働者。リビアの石油輸出は2011年の水準に比べ激減しているという(東部のブレガで)=AP

ブレント原油は28日、1バレル117.34ドルという6カ月ぶりの高値をつけた。この原油高騰は、折しも新興国の通貨が対ドルで急落したタイミングで世界中の政府と企業、家計のエネルギーコストを上昇させている。

原油はさらに上昇すると見る向きもある。ソシエテ・ジェネラルのアナリストらは、西側が空爆を実施したらブレント原油は恐らく1バレル125ドルに達し、生産に混乱が生じたら150ドルの高値をつける可能性があると話している。

西側諸国によるシリア介入の公算が大きくなったタイミングは、原油市場が多くの人が予想していたよりずっとタイトな時期に到来した。

北米のシェール革命で供給量が急増する一方、成長の鈍い世界経済の原油需要の伸びは比較的落ち着いていることから、十分な余剰生産能力が生じるはずだった。ところが実際は、北海やナイジェリアで相次ぎ生じた供給混乱のために、原油価格は夏中、上昇傾向をたどった。リビアでは従業員のストライキと武装集団の活動で輸出ターミナルと油田が閉鎖に追い込まれ、この2カ月間で日量ほぼ100万バレルの原油生産が中断された。

「現物市場は非常にタイトで、シリアに関するニュースの見出しはまさに、市場が本気で買い持ちに動くのに必要な合図だった」。20億ドル相当のコモディティー(商品)資産を抱え、ブレント原油の一段高を見込んだポジションを取る英国の資産運用会社ハーミーズのドナル・オシア氏はこう話す。

■周辺国のイラク、イランに注目集まる

原油市場では、シリア空爆の可能性は特に2つの国に関心を集めることになった。

1つめはシリアと隣接するイラク。日量300万バレルの原油を生産し、世界の供給量の3%以上を占める国だ。

シリアでアサド大統領の体制と戦っているスンニ派戦闘集団は国境を越えて自由に活動している。8月半ばには、シーア派が支配するイラク南部のバスラに近いウム・カスル港の埠頭でトラック爆弾が爆発した。イラクの主な産油地域では一時的に暴力が落ち着いていたが、石油関連施設はシリアからの飛び火にもろいという不安が高まっている。

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シリア情勢に揺れる市場

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