2019年2月20日(水)

中国、全国民の指紋登録を義務化 改正法成立

2011/10/29付
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29日に開かれた中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会で、国民の身分証明書に指紋情報の登録を義務付ける改正住民身分証法が成立した。来年1月1日から施行する。銀行や病院などで個人照合の手続きを円滑にするほか、身分証の偽造防止などを目的に挙げる。ただ、インターネット上では「政府による人権侵害だ」などと反発が広がっている。

中国公安省は改正法について「犯罪の発生を防ぎ、社会管理も強化できる」と説明している。一方で人権運動家、反政府活動などの監視や摘発に使われる可能性もある。

2004年に導入した現行の身分証には氏名や生年月日、民族、身分証番号など9項目を登録。既に指紋情報も登録できるよう設計しているという。今後、身分証の更新時や再発行時に新たに指紋情報を得る方針だ。

全人代常務委の審議では、指紋だけでなくDNAなど遺伝子情報も登録できるよう法改正を求める意見も出たという。

英国は指紋や顔画像を登録する国民IDカードを採用。スペインも同様の電子身分証明書を出すなど指紋情報の登録を求める先例はある。中国のネット上でも「IT(情報技術)化の流れの中で合理的な選択だ」と評価する声もみられる。

ただ、全体でみれば個人情報の強制的な採取に反発の方が大きい。全人代常務委の29日の記者会見では中国メディアから「指紋の採取がなぜ必要なのか」などと当局に詰め寄るような質問が相次いだ。

中国政府は次期指導部への権力移行を来年に控え、社会の管理を厳しくする動きを強めている。共産党による事実上の一党支配の下で、国民から意見を聞く機会がないまま、プライバシーにかかわる制度が決まることへの抵抗感も強いようだ。

29日に閉会した全人代常務委では、反テロ対策の強化も決めた。政府がテロ組織と認めれば、直ちに金融資産などを差し止める方針。中国は民族独立派などもテロ組織と認定しており、国内の反政府活動を弾圧する意図もありそうだ。

(北京=島田学)

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