2018年7月20日(金)

[FT]オバマ大統領の外交政策への疑念(社説)

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2014/5/29 14:00
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 米国のオバマ大統領は就任に際し、外国で展開する2つの戦争を終了させると誓った。同氏はそれをやり通すつもりのようだ。政権の1期目ではイラクに駐留する最後の米軍を撤退させ、2期目の終わりまでにアフガニスタンに残っている米軍も完全撤退すると発表。両国で合計18万人いた部隊が8年間でゼロになれば、約束が果たされることになる。

米陸軍士官学校卒業式で演説するオバマ米大統領(28日、ウエストポイント)=AP

米陸軍士官学校卒業式で演説するオバマ米大統領(28日、ウエストポイント)=AP

 しかしオバマ氏が予定通りに進める理由については疑念がつきまとう。米軍のイラクからの拙速な撤退は、同国がイランの影響下に置かれる一因となった。さらにアフガニスタンでも完全撤退を急ぐならば、米国主導でようやく築き上げた同盟関係の利点を台無しにする恐れがある。

■内政の都合で優先順位が決まる

 オバマ氏は明確な目標を設定し、それを粘り強く達成することで評価されたいようだ。しかし、ニューヨーク州ウエストポイントの米陸軍士官学校卒業式で行われたオバマ氏の外交演説は、現地の状況よりも米国の政治の都合で優先順位が決まるという疑念をほとんど払拭できなかった。オバマ氏の外交政策指揮全般にも同じことが言えるかもしれない。壮大な目標を掲げるのは得意だが、実際の行動は最新の世論の動きに影響されやすい。

 そうは言っても、アフガニスタンは6年前に比べてはるかに安定した国となった。オバマ氏が「米国から始めた戦争」(主にイラク戦争)に反対し、「必要に迫られた戦争」(その例がアフガニスタン)を支持する立場を選んだのはもっともだ。オバマ氏の就任時、アフガニスタンの駐留米軍はわずか2万人だったが、2年以内に10万人に膨れ上がり、1980年代のソ連軍によるアフガニスタン占領時の最大規模に迫った。

 しかしソ連とは異なり、米国はアフガニスタンの正式な政府と緊密な協力関係を維持し、同国のカルザイ大統領が米軍の方針への協力を拒んでも動じなかった。一方で、反政府武装勢力タリバンは活動を抑えられ、国際テロ組織アルカイダのアフガニスタンの拠点は破壊された。

 来月、アフガニスタンで新しい大統領が選出される。ここまで比較的管理の行き届いた状況で進められ、無事選出されるまであとわずかだ。オバマ氏退任前に米軍撤退を終える計画によって、仮に新政権が不利な立場に置かれるならば、それは非常に残念だ。タリバンがよく使う言葉に「おまえたちには期限があるだろうが、我々には時間がある」というものがある。オバマ氏は必要に応じ、駐留米軍の規模を増やす余地も残しておくべきだ。

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