ロシアに軍事支援求めず ヤヌコビッチ氏が会見
【モスクワ=田中孝幸】ウクライナの大統領職を解任されたヤヌコビッチ氏は28日、ロシア南部ロストフナドヌーで政変後初めて記者会見した。復権のためにロシアからの軍事支援を求めない考えを表明。「ウクライナの将来のため闘い続ける」と述べ、大統領続投の意向を明らかにした。
ロシアに入った後、プーチン大統領に電話し「機会ができ次第、会談することで合意した」と公表した。出国の理由について「私や親族の命に危険があった。怖かったわけではない」と強調。ロシアが黒海艦隊の基地を置くクリミア半島経由で出国したと説明した。
ヤヌコビッチ氏を保護下に置いたロシア政府は前政権関係者を支援する姿勢を見せている。ロシア内務省は28日、反政権デモの鎮圧に当たった内務省特殊部隊「ベルクト」を含むウクライナの治安機関関係者の亡命を受け入れ、雇用する用意があると発表した。
一方、新政権や欧米各国による前政権幹部への追及は強まっている。ウクライナの検察当局は28日、ロシアに滞在しているヤヌコビッチ氏の身柄引き渡しを求めると発表。反政権デモ隊の大量殺人への関与の疑いで、ザハルチェンコ前内相やベルクトの元幹部ら前政権幹部10人の身柄拘束を命じた。
オーストリア政府も同日、ウクライナ新政権の求めに応じ、汚職や人権侵害に関与した疑いがある前政権幹部ら18人のオーストリア国内の銀行口座を凍結したと発表した。