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ウクライナ緊迫、非常事態も検討 米英ロに協議要請

クリミアの空港に武装集団

【キエフ=石川陽平】ウクライナの南端、クリミア半島にあるクリミア自治共和国で、ロシア軍が空港を占拠し、介入に乗り出したとの情報が流れ、情勢が緊迫している。ロシアのプーチン政権は同じ東スラブ民族で4500万の人口を持つウクライナを重視してきたが、クリミアに介入すれば、ウクライナや欧米との関係が一段と悪化。同国の親欧米路線を加速させかねない。

インタファクス通信によると、武装集団が28日未明までに占拠したベリベク空港の周辺には親ロ派の「自衛部隊」が集まっている。ウクライナの通信社ウニアンによると、クリミアの中心都市シンフェロポリの空港にもロシア系住民の自衛部隊が入り、警備に当たっている。

一方、国境警備に当たる国家国境局は28日、ロシアの軍事ヘリコプター10機以上がクリミアに入ったことを明らかにした。約30人のロシア軍兵士がセバストポリ近郊にあるウクライナ海上警備隊基地の近くに展開したとの情報もある。

緊迫するクリミア情勢に関して、ウクライナの国会は28日、ウクライナの主権を侵害しないようロシアに求めるとともに、米英ロにウクライナの主権を尊重し領土を保全するとの1994年の4カ国合意に基づいて、クリミア情勢に関する協議を開くように求めた。

トゥルチノフ大統領代行は28日午前から、国防政策の最高意思決定機関、安全保障・国防評議会を開いた。評議会終了後、パルビー評議会書記は記者団に、非常事態宣言の可能性を排除しない考えを示した。

クリミア自治共和国では2月21~22日に起きた政変以降、分離・独立やロシアへの帰属替えを求める親ロ派の部隊結成の動きが活発になっている。27日には政府、議会が親ロ派の武装集団に占拠された。共和国議会は27日、5月25日に共和国の地位に関する住民投票を実施することを決めた。

クリミア半島は国際政治の舞台になってきた
1783年オスマン・トルコとの戦争に勝利したロシアが編入
1853年
~56年
クリミア戦争。南進するロシアと英仏トルコなどが衝突
1945年ヤルタ会談。半島南端の保養地で米英ソ首脳が戦後秩序について討議
54年ソ連のフルシチョフ書記長がクリミア半島をロシア共和国からウクライナ共和国に編入
91年ソ連崩壊でウクライナ独立
92年クリミア州議会が独立宣言。その後、自治共和国に
97年セバストポリの黒海艦隊基地、ロシアへの貸与で合意
2014年
2月
ウクライナのヤヌコビッチ政権が崩壊
武装勢力がシンフェロポリとセバストポリの空港を占拠

 ロシアが親ロ派住民の保護や黒海艦隊基地の安全確保のため軍部隊を動かせば、ウクライナとロシアの軍事衝突に発展しかねない。ウクライナにも隣接するロシアの西部と中部の軍管区では26日から、機動力を高めるための軍事演習が実施されている。ロシアのラブロフ外相は27日のケリー米国務長官との電話会談で、予定されていた演習だと説明した。

ロシアのプーチン政権は自ら主導する旧ソ連地域の経済統合「ユーラシア経済同盟」にウクライナの参加が不可欠だとみている。黒海艦隊の基地があるだけでなく、ロシア系住民の多いクリミア半島を見捨てれば、ロシア国内の保守派の反発を招きかねない。

ただ、クリミアへの介入はウクライナだけでなく欧米諸国との関係悪化を招くのが確実。2008年夏にグルジアの民族紛争に介入し、同国や欧米との関係が決定的に冷え込んだ経験もあり、介入か非介入かプーチン政権は難しい選択を迫られている。

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