2019年4月18日(木)

[FT]米国は石油戦略備蓄を取り崩すな(社説)

2012/2/28付
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(2012年2月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

米国のガソリン価格が1ガロンあたり平均4ドル近くにまで跳ね上がり、オバマ大統領が石油価格の動向に神経質になるのも無理はない。ガソリン価格の上昇は米国の有権者を怒らせるだけではない。民主党は景気回復を実現してオバマ大統領の再選を果たしたいと思っているが、その景気回復を危うくしかねない。

オバマ大統領が検討している対応策の中には米国の戦略備蓄の取り崩しも含まれている。備蓄量は約7億バレルで、テキサス、ルイジアナ両州の海岸沿いの巨大な岩塩ドームに貯蔵されている。

オバマ大統領は仲間の民主党議員から圧力を受けているが、備蓄には手を付けるべきではない。

戦略備蓄が取り崩されたことはこれまでに3度しかない。1991年の第1次湾岸戦争時や2005年のハリケーン・カトリーナが被害をもたらした時で、これらの場合には効果があったと言ってよいだろう。しかし昨夏、リビアからの供給減を埋め合わせるため3000万バレルを放出した際には、効果はあまりなかった。

今の状況は昨夏に似ている。価格が上がっているのは主にイランと関係が緊張しているためであって、今戦略備蓄を放出しても原油価格に短期的に影響を与えるものの、政治的緊張が続いて価格はまた上昇に転じるだろう。

オバマ氏が性急にこの緊急措置を発動した場合、イラン政府に対する立場が弱くなる。戦略備蓄は真の惨事の時に使うものだ。例えばイランがホルムズ海峡を閉鎖すると決定した時だ。世界の石油の海上輸送の3分の1がこの海峡を通過している。

イランがこの重要な輸送路を閉鎖すると脅迫している段階で米国の石油備蓄を減らせば、米国の立場は一段と弱まる。

オバマ氏が国のために何かしたいというのであれば、米国の石油輸入依存度を下げるべきである。長期的にはシェールガスとシェールオイルの生産が有効だろう。エネルギー効率の改善も役に立つだろう。

米国が必要としているのはエネルギー政策についての議論であって、効果が薄く、害すらもたらしかねない措置を選挙目的に取ることではない。

(c) The Financial Times Limited 2012. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.

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