2018年6月20日(水)

中国、外国人にも社会保険 11年7月

2010/10/29付
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 【北京=尾崎実】中国の全国人民代表大会(国会に相当)常務委員会は28日、中国で働く外国人の社会保険加入の義務化を目指す社会保険法案を可決、成立した。来年7月1日から施行する。現地採用の日本人も労災事故や失業などの際に公的扶助を受けられるようになる。ただ、進出企業にとっては外国人雇用で1人当たり人件費が3~4割程度増える恐れがあり、採用など経営戦略の見直しが急務となる。

 中国政府は従来、企業に対し、雇用契約を結ぶ中国人を対象にした社会保険加入を義務付けてきた。外国人労働者の増加を受けて「海外の優秀な人材を確保する上で、外国人向け社会保障の整備が必要」(法制担当者)と判断し、加入対象を外国人にまで拡大した。各国で若年層の就職難が深刻になる中、外国人が中国に就職先を求める流れを後押ししそうだ。

 しかし、中国に進出した企業は保険料の増加により、コストの上昇が避けられない。保険料の負担は企業と個人の双方がそれぞれ支払う方式だが、実際は企業が個人の分を含め一括して支払っているケースが多い。その場合、外国人雇用の人件費が4割程度、一気に上昇することになる。

 このため、企業側は賃金の高い外国人の雇用を控え、中国人採用に切り替えるなどの対策に動く可能性がある。

 同法が対象として定めた保険は、養老・医療・失業・労災・生育の5種類。中央政府が定めた保険料の算定基準によると、養老保険の場合、月給の20%相当を企業が、8%を個人がそれぞれ負担する。地方政府はこの基準を基に、各地の発展状況や労働者の年齢構成などを加味し保険料率を決める。保険料の徴収・納入責任は企業が負うとしている。

 中国の法曹関係者によると、税引き後の月給が8300元(約10万1000円)程度の社員の場合、企業は年間約6万5000元(約79万円)程度の保険料負担が求められるという。現地採用者について、年間保険料十数万円の海外旅行保険に加入するケースが多い日系中小企業にとっては大幅な負担増だ。

 企業が加入を怠った場合、悪質なケースは最高で保険料の3倍に当たる罰金を科すなどの罰則も規定。保険料の滞納を続ける企業に対しては、中央・地方政府が銀行口座を調査し、未納入相当額を差し押さえできるとした。

 日系企業では、現地駐在社員は日本の厚生年金や労災保険、雇用保険に加入するが、現地法人の採用者は日本政府所管の各保険の適用対象ではない。同法の施行で、現地採用社員による中国の各保険への加入が可能になり、駐在社員とともに医療保険も受給できるようになる。

 ただ、駐在社員に同法を適用した場合、本国と中国で保険料を二重負担しなければならない問題が生じる。「二重負担の回避なども含め、外国人への本格的な適用にはしばらく時間がかかる」(法曹関係者)との見方もある。

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