バングラデシュの工場崩落、抗議拡大 日系に飛び火

2013/4/28付
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バングラデシュの首都ダッカ近郊で起きた縫製工場の崩壊事故が「世界の縫製工場」の異名を取る同国の地位を揺るがしかねない事態になっている。犠牲者は350人を突破。他の縫製工場では安全策強化を求める大規模な抗議デモも起きた。繊維輸出大国を支える現場で安全性が軽視されたとの疑念を呼んでいる。

地元報道などによると28日現在、事故の負傷者は2千人以上、行方不明者は600~900人とされる。警察当局はビルの所有者を逮捕し、崩壊の危険に気付きながら放置した疑いもあるとみて追及する。

事故は24日に発生。縫製工場が入った8階建てビルが崩落した。ビルの所有者が5階以上を違法に建て増し、機械などの重さに耐えられなかった可能性が指摘されている。

影響は日系企業にも飛び火。他の縫製工場の労働者が安全対策の強化を求め抗議デモを始めた。ダッカ近郊のガジプールにある日系企業の縫製工場では25日、投石で大量のガラスが割られた。別の日系企業の車も襲われ窓ガラスが割られる被害も確認。在バングラデシュ日本大使館は在留邦人に外出を控えるよう呼びかけている。

近年は平均で6%を超える同国の経済成長を支えるのが縫製業。縫製製品は輸出の4分の3を占め、世界シェアはトルコを抜いて2位だ。

日本貿易振興機構(ジェトロ)の最新の調査によると、ダッカの日系企業の工場で働く作業員の基本月給は74ドル(約7200円)で、北京の466ドルやニューデリーの276ドルより圧倒的に低い。

すでにカジュアル衣料大手の米GAPなどは世界市場への一大供給拠点に位置付ける。ユニクロを展開するファーストリテイリングや東レなど日本企業の進出も目立つ。中国一辺倒のリスクを回避する「チャイナプラスワン」の代表格とされてきた。

一方で、低い生産コストの影で劣悪な労働条件や搾取の実態も指摘される。今回の事故では出稼ぎの女性らは経営者に解雇をちらつかされ、危険な工場に戻るしかなかったという。

今回の事故は日本企業にも、自社の製品がどのような状況で作られているのかという実態の把握と労働環境の改善の必要性を突きつけている。(ニューデリー=岩城聡)

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