米軍、サイバー防衛強化 司令部要員を4年で4000人増
【ワシントン=中山真】米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長は27日、サイバー攻撃への防衛能力を強化する方針を明らかにした。今後4年間でサイバー司令部要員を4千人増やすとともに、ネットワーク強化などサイバー安全保障対策に230億ドル(約2兆3千億円)を投入する。国防予算が削減されるなかで、サイバー防衛を国防の最優先課題のひとつとして重点配分する。
デンプシー議長はワシントン市内の講演で「サイバー攻撃は国家の安全保障にとって明らかに最も深刻な脅威となった。マウスをクリックしただけで国家全体を破壊できる世界に我々はいるからだ」と指摘した。議長に就任した2011年以降に米国の重要インフラに対する攻撃が17倍に増加したとして対策の必要性を訴えた。
230億ドルを投じるとしたサイバー安全保障対策は「軍事部門へのハッキングだけでなく、国家の中核的な経済機能などへの深刻な影響を与える攻撃を阻止する対策に充てる」とし、軍民のネットワークへの攻撃に対応できるよう対処する方針を示した。サイバー司令部要員は現在900人。4年間で5倍以上に増えることになる。
さらに議長は国防総省内のネットワークをクラウド上の共通の仕様に統合して安全性を強化したり、安全性の高い独自の携帯電話網を整備したりする計画も明らかにした。
具体的なサイバー攻撃への対応では、オバマ大統領がすでに政府の各機関の対処方針を定めた大統領令に署名したと説明。米軍がサイバー空間で交戦する際の規定の策定作業を進めていることも明らかにしたうえで「やることはまだたくさんあるが、こうした段階を踏んでいくことが確実に我々の防衛能力を強化する」と訴えた。