タイ首相「洪水、危機的な状況」 首都に兵士5万人
【バンコク=野沢康二】洪水被害が続くタイの首都バンコクで27日、浸水地域が拡大、インラック首相は同日「今回の洪水は既に危機的な状態に陥っている」と述べた。軍は兵士5万人を配置するなど厳戒態勢に入ったが、政府の洪水対策センターがある国内線専用のドンムアン空港では配電設備が水に漬かって一時停電するなど、被害拡大に歯止めが利かない状態が続いている。
軍は車両1千台、ボート1千艇を投入し、浸水を防ぐ作業や住民避難の支援、水道・電力などライフラインの維持に取り組む。バンコク郊外にある東南アジアのハブ空港、スワンナプーム国際空港に1500人を収容できる避難所を開設する。バンコクには計200カ所余りの避難所を新設、8万人近くが避難できる体制を整える。
バンコクでは王宮前広場や中華街ヤワラートなどを含め、全50地区のうち20地区以上で浸水被害が確認された。スクムパン知事は同日、北部ドンムアン地区などに続き、北部サイマイ、西部タウィワッタナ両地区の住民に避難勧告を出した。
洪水対策センターは全バンコク市民に対し、臨時休日で連休となった27日から31日までの間、可能な限り首都を離れるよう呼びかけた。政府は首都を走る主要道路の一部を閉鎖して、海へ排水することも検討している。