パキスタン新首相、最高裁に初出廷 前任に続き失職懸念

2012/8/27付
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【ニューデリー=黒沼勇史】ザルダリ大統領の汚職疑惑を巡り、政権と司法が対立するパキスタンで、アシュラフ首相は27日、最高裁判所に初出廷した。最高裁はザルダリ氏の疑惑への訴追再開を進めない首相に対し、理由説明を求めていた。首相は同日、説明の延期を要請。最高裁はこれを受諾し、9月18日に再出廷のうえ説明するよう求めた。同国の文民統治を揺るがす混迷状態が当面続く情勢だ。

この問題はザルダリ大統領が過去にマネーロンダリング(資金洗浄)に関与したとの疑惑が発端。前首相のギラニ氏は、ザルダリ氏に対する訴追を求めた最高裁判決を履行せず「法廷侮辱罪」により議員資格を失い、最高裁は6月に首相職の失職を申し渡した。これを受け、与党第1党のパキスタン人民党のアシュラフ氏が6月下旬に後任の首相に就任していた。

ロイター通信などによると、アシュラフ氏は27日、最高裁において「この問題について、最高裁の尊厳を守り、真摯に対応する」と述べた。前職のギラニ氏と同様に、法廷侮辱罪を問われ、失職する事態を避けたいとの意向を示した格好だ。

もっとも、パキスタンでは首相職は大統領が指名する。「ザルダリ大統領はアシュラフ氏に、自分を守り通す忠誠心を求めた」とされ、首相がザルダリ氏訴追へ動けるかは不透明だ。アシュラフ氏が訴追手続きに踏み切らなければ、ギラニ氏と同様に、議員資格の停止と首相失職に至る可能性が高い。短期間に首相が2度も替わる異常事態に陥る公算が大きい。

政権と司法の対立激化の背景には、政権と軍の対立がある。政権とパキスタン軍は2011年に、対米関係などで方針の相違が表面化。軍が司法に圧力をかけ、ザルダリ政権への攻勢を強めているとの見方が多い。

同政権は南アジア地域での対テロ戦で米国と協力する姿勢を鮮明にしてきたが、パキスタン軍は同地域のイスラム過激派と緊密な関係を保持するとされる。政権と司法の対立の構図が解けず、政権側が敗色を濃くしていけば、過激派の勢力回復が加速しかねない。

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