北朝鮮、「スパイ」で韓国揺さぶり
北朝鮮が「韓国のスパイ」と主張する男性が27日、平壌で記者会見した。証拠物などの映像も用意され、韓国を揺さぶるための北朝鮮側の周到な準備がうかがえる内容。今後の南北対話を見据え、北朝鮮と韓国のせめぎ合いが激しくなりそうだ。
韓国統一省の報道官は同日「北朝鮮が韓国国民を一方的に拘束したのは遺憾だ」と表明、早期釈放と韓国への送還を要請した。
会場の「人民文化宮殿」には27日午前、国内の記者のほか、平壌に滞在していた共同通信や米AP通信の記者、友好国である中国の常駐記者らが集められた。平壌駐在の外交関係者らも招かれ、出席者は計100人を超えた。
「キム・ジョンウク」と名乗る男性は、北朝鮮に昨年10月密入国し、間もなく拘束されたと述べた。自らの「犯罪」の内容も説明し、韓国の情報機関、国家情報院の指示を受け中国・丹東で運営していた地下教会に北朝鮮市民を引き込み情報収集したほか、国内でも地下教会をつくるようそそのかしたなどと語った。
ソウルの日本料理店で国情院幹部と会った経緯なども具体的に説明。「私の行動は犯罪だった」と語り、「すみませんでした」と繰り返し謝罪した。
一方、統一省報道官は、男性が「純粋な宗教活動をしていた」とし、犯罪者とするのは「理解できない」と強調。男性の身辺の安全を確保し、家族や弁護士と接見できるよう北朝鮮に協力を求めた。(平壌=共同)