2019年5月26日(日)

薄熙来被告の公判結審 権力闘争の闇、光当たらず

2013/8/26付
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【済南(中国山東省)=大越匡洋】収賄、横領、職権乱用の罪に問われた元重慶市トップ、薄熙来被告(64)の公判が26日、山東省済南市中級人民法院(地裁)で結審し、薄被告はすべての罪を一貫して否認した。地裁は一度公開した情報を後になって削除するなど、薄被告の腐敗だけに焦点を当てようと腐心。結局、事件の核心だった権力闘争については、その一端も垣間見えないまま公判を終えた。

5日間で計26時間半以上と、中国の裁判としては異例の長時間に及んだ公判。薄被告が「元側近は妻に横恋慕した」と明かすなど、さながらワイドショーのようだった。

地裁が、ミニブログ「微博(ウェイボ)」で裁判の様子を伝えた異例の情報公開も「ワイドショー化」に拍車をかけた。

検察側は薄被告に不利な証言をする妻の谷開来受刑者(英国人殺害で執行猶予付き死刑判決)のビデオを流した。薄被告失脚の引き金を引いた元側近、王立軍受刑者(懲役15年判決)も証人に立てて対決を演出した。薄被告を「腐敗官僚」として裁こうとする指導部の意図は明らかだった。

だが、失脚の背景にある権力内部の政争の側面は素通りした。地裁は26日、王受刑者が米総領事館に駆け込んだ際の「党中央からの指示」に言及した検察側の発言を「微博」で一度伝えたが、その後に削除。当時、薄被告とやり取りしたことを示唆する内容の露呈を懸念した党指導部が、情報を隠そうとしたものとみられる。

薄被告は重慶トップ時代、最高指導部入りをめざし、暴力団撲滅の名目で資産家らの財産を没収するなど強権をふるった。保守派や庶民から人気を得たが、当時の胡錦濤指導部とは対立した。

公判では、こうした政治手法には触れずじまい。駆け込み事件に絡む党指導部と薄被告とのやりとりなど、政治の舞台裏に迫る事実は闇の中だ。

習近平国家主席は「群衆路線」という汚職摘発などの政治運動を進めるが、これは薄被告を支持する保守派に配慮したものだ。「党内の安定を優先し、薄被告を単なる腐敗幹部として裁く」という意向は明らか。検察は26日、薄被告に「厳重な処罰」を求めた。無期懲役から懲役15年との観測が流れる判決は、9月中にも出る見通しだ。

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