米国は「日本化」を回避 FRB議長
「我々は(日本のような)デフレに陥るのを回避した」。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は25日の記者会見で、米国は素早い政策対応をした結果、バブル崩壊後の日本のような長期の経済停滞は回避できるとの見通しを表明した。
バーナンキ氏はFRB入りする前の学者時代から、政策金利をゼロにした後も中央銀行はあらゆる手段を使ってデフレを防ぐ重要性を説いていた。FRB理事だった2003年には、日銀により積極的な金融緩和の提案をしたこともある。
25日の会見では「当時の私の見解は、今の我々の政策と完全に一致している」と述べ、FRBが早期に量的緩和など積極策をとったことが日米の違いを生んだとの見解を示した。
バーナンキ氏は「日本のバブルのほうが大きかったし、その崩壊の衝撃も(米国より)大きかった」と、日本の困難さに理解を示しつつも「我々はデフレ回避のために積極的かつ予防的に動いた」とFRBの対応を自賛した。金融システム対応でも、米国は公的資金を使った銀行の資本増強に素早く動いた点をあげた。
バブル崩壊後の日米比較については、白川方明日銀総裁も19日の米国での講演で見解を明らかにしている。白川総裁は、(1)バブルの規模は米国のほうが日本より小さかった(2)不良債権処理は米国のほうが速かった(3)米国は日本ほど急速な人口高齢化は起きなかった(4)米国はより柔軟な経済構造がある――などの点をあげ、米国が日本型の長期停滞になる可能性は小さいとの見方を示した。ただ白川総裁はバーナンキ議長が強調する「より積極的な金融政策」の日米の違いについては言及しなかった。(ワシントン=藤井彰夫)