2018年8月20日(月)

最大級ファンド創業者「欧州危機、深刻化リスク30%」
米ブリッジウォーター・アソシエーツ レイ・ダリオ氏に聞く

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2012/4/26付
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 【ニューヨーク=伴百江】運用資産残高で世界最大級のヘッジファンド、米ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏が日本経済新聞の取材に応じた。米国、欧州、日本など世界の先進国がデレバレッジ(負債圧縮)の過程にあり、長引く欧州債務危機が深刻になるリスクが「30%程度」あるとの見方を表明。日本は、量的緩和拡大による名目成長率引き上げが急務との見方を示した。同氏が日本のメディアの会見に応じるのは初めて。

 同氏との一問一答は次の通り。

 ――欧州債務危機の行方は。

世界最大級のヘッジファンド運用会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏(Emily Hey撮影)

世界最大級のヘッジファンド運用会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏(Emily Hey撮影)

 「欧州の危機は深刻だ。各国が自分の中央銀行を持たないことから必要な国に必要なだけ紙幣を印刷して金融緩和をするのが難しい。各国が自らの利益だけを追求し、富める者が貧しい者を支えることができていない。欧州に必要なのはかつて1790年に米国がなし遂げた(独立していた州を統合して1人の大統領と財務省を作り上げた)真の統合だ」

 「欧州は1つの中央銀行に加え、1つの財務省、1人の財務大臣、税制と財政政策の中央集権化だ。1つの中央銀行がすべての国の利益にかなうような政策を実行するのは不可能だ。債務国が独立した金融政策もなく、富める国からの十分な富の移転もない現在の状況では自国経済は縮小の悪循環に陥っている。かといってユーロを崩壊させるのは同じくらい深刻な事態になる。いずれも悪い事態だ」

 「現在の金融市場で最大の懸念は、この欧州債務危機が制御不能の状態になることだ。それが今後数年以内に起こる確率は30%程度とみるが、仮にそうなった場合、富める者と貧しい者との間の社会的闘争が起こったり、この金融危機が欧州域外の国や金融機関に波及するリスクがある」

■日本国債の需給バランスに不安

 ――日本が第2のギリシャになる懸念は。

 「日本はギリシャとは違う。ただ、日本は紙幣印刷と負債のリストラ、緊縮経済のバランスをとれないでいるために深刻な問題に直面している。名目国内総生産(GDP)の伸び率を名目金利よりも引き上げるために紙幣を印刷して長期資産の買い取りを十分実施していない。そのため、GDPに対する負債の比率が上昇を続けている。日本国民の貯蓄率の高さを利用して政府は長い間資金調達ができたため、今のところ債務危機には至っていない。しかし、社会の高齢化が進むに伴い貯蓄を取り崩す動きが加速すれば、日本国債の需給バランスは崩れる」

 「日銀が何もしない状態を続けられる時間は限られている。紙幣を印刷して量的緩和を実施し、円安にすることが負債圧縮につながる。何もしなければ今後2~3年で日本の債務問題は深刻な状況になるだろう」

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