独首相「共同債、必要ない」 仏伊首脳を前に明言

2011/11/25付
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【ベルリン=菅野幹雄】ドイツ、フランス、イタリアの3カ国首脳は24日の会合で欧州債務危機の阻止への結束を演じたが、互いの意見対立は埋まらなかった。特にメルケル独首相は域内の金利差を解消するユーロ共同債構想を「必要ない」と明言。欧州中央銀行(ECB)の関与強化を巡る立場の差も残った。

元欧州委員で実務に通じたモンティ・イタリア首相の就任を独仏首脳は歓迎した。改革実行に真剣さをみせないベルルスコーニ前首相の存在がイタリアに対する市場の不信を招き、債務危機の延焼をもたらす主因だったからだ。

■「5割連合」の構図

モンティ首相は独仏首脳をローマに招き、近日中に再び会合を開く。もともと緊密な協議を続けている独仏がイタリアとの距離をぐっと縮める格好で、合計でユーロ圏の経済規模の半分近くを握る「5割連合」の3カ国が欧州の危機克服の軸となる構図がみえてきた。

だが、現時点での主要争点を巡る議論は、今回の会合では平行線をたどった。最大の関心はユーロ共同債の問題。バローゾ欧州委員長が23日に3種類の導入案を提示する一方、首相就任前に学者として導入を主張したモンティ氏の登場で、問題が前進することへの期待感が浮上していた。

この観測をメルケル首相は振り払った。共同記者会見で「国の競争力によって金利の格差がつくことが重要だ」と述べ、共同債の導入に動けば問題国の改革努力が緩むと持論を強調した。「この時期に提案するのは不適切」と欧州委を批判した23日の独議会での発言に加え、24日も「必要とは思わない。立場は変わらない」と明言した。

一方、モンティ首相は「欧州に財政連合ができれば、共同債は安定に相当な貢献をする」と発言。双方の立場には違いが残った。

■赤字監視強化は一致

どちらとも欧州内での財政政策の調和や赤字抑制のルール違反の監視を強化する案では一致する。メルケル氏の発言は、構想が実現する前から共同債の議論を先行させることにクギを刺す狙いがあるともいえる。

ECBが国債購入の拡大などで危機克服にさらに積極的に関与すべきだとする議論でも、立場の違いは残った。首脳会談では「ECBは独立した存在」という一致点を強調した各首脳だが、会見の中では「口出しは一切無用」とするドイツの主張と、より積極的な関与を期待するフランスとの温度差を感じさせた。

対立の長期化は市場の混乱に直結する。来月9日の欧州連合(EU)首脳会議までに欧州の結束を改めて示せるかどうかが焦点になる。

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