アルゼンチンペソ急落 中銀の姿勢に懐疑的見方広がる
【サンパウロ=宮本英威】23日のブエノスアイレス市場で南米アルゼンチンの通貨ペソが急落し、前日と比べて12%ペソ安・ドル高の1ドル=8ペソで取引を終えた。外貨準備の減少を背景に、中央銀行のペソ安阻止の姿勢に懐疑的な見方が広がっていることがペソ売り材料となった。ロイター通信によると、1日の下落率としては、債務危機が起きていた2002年以来の大きさだ。
ペソは前日も下落していたが、中銀は介入をしなかった。外貨準備高の減少を懸念する中銀が、ペソ買い・ドル売りの為替介入の姿勢を和らげるとの観測が広がり、23日のペソ急落を招いた。この日は一時、1ドル=8.5ペソで取引される場面もあった。ペソの年初からの下落率は20%を超えた。
アルゼンチンの外貨準備高は13年末時点で305億ドル(約3兆1500億円)と、この1年で約30%減った。政府・中銀はさらに減少することに神経をとがらせる。
急激なインフレもペソ売りの要因になっている。政府は消費者物価の上昇率が13年に10.9%だったと公表したが、エコノミストらは実際の物価上昇率は25~30%程度に上ったとみている。