サイバー攻撃の損害、米で年10兆円 研究所試算
【ワシントン=芦塚智子】米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)と情報セキュリティー大手のマカフィーがサイバー犯罪・スパイ行為に関する報告書をまとめ、米経済の損失は年間約1千億ドル(約10兆円)に上るとの推計を明らかにした。
報告書は、サイバースパイ行為による知的財産権や企業機密情報の損失、サイバー犯罪被害、サイバー攻撃被害からの復旧費用などの損失額を総合して推計した。雇用の損失も年間約50万人と推計している。世界的な経済損失は最高で年間5千億ドルに達する可能性があるとした。
国家安全保障や企業の信用への影響など数値化が難しい側面もあり、実際の損害はさらに膨らむこともありうると指摘している。
ただ、サイバースパイ行為で企業の機密情報が盗まれても情報自体を失うわけではなく、盗んだ側が情報をすぐに活用できない場合もあると指摘している。サイバー攻撃による被害を隠したり気付かなかったりする企業もあり、正確な損失額を推計するのは難しいと説明している。