2019年1月24日(木)

米エコカーベンチャーのフィスカーが破綻

2013/11/24付
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【シリコンバレー=杉本貴司】米エコカーベンチャーのフィスカー・オートモーティブが経営破綻した。米投資グループに身売りする。フィスカーはオバマ米政権が環境分野での雇用創出を目指した「グリーンニューディール」政策の主要支援先。電池など関連の資金支援先でも破綻が相次いでおり、政策の失敗が鮮明になってきた。

フィスカーは22日に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請。米投資グループのハイブリッド・テクノロジー・ホールディングスが、不良債権化した1億6800万ドル(約170億円)分のフィスカー向けのローン債権を引き取る形で同社を買収することで合意した。ロイター通信などによると、ハイブリッド社は香港の実業家、李沢楷氏が実質的に率いている。

オバマ政権のグリーンニューディールに基づく支援先で破綻するのは主要企業で6社目。これまでに太陽光発電のソリンドラなどが破綻した。

フィスカーはアルミ素材を多用したプラグインハイブリッド車で、1台10万ドルを超える高級スポーツセダン「カルマ」がほぼ唯一の商品。オバマ政権下で2009年に成立した景気対策法に基づき、米エネルギー省から計5億2900万ドルの低金利融資枠を得た。当時、法的整理に入った米ゼネラル・モーターズ(GM)からデラウェア州の工場を買い取り「米産業界の新旧交代の象徴」ともいわれた。

だが米国ではエコカーの普及が遅れ、カルマの販売は低迷。電池の故障なども響き昨年半ばには生産、販売を停止して経営が行き詰まっていた。エネルギー省は融資を凍結したが、今回の経営破綻に伴う買収の結果、約1億4000万ドルの損失が出たもようだ。

一方で海外ではフィスカーの技術への評価は高い。真っ先に買収に名乗りを上げたのが中国勢だ。国営の東風汽車集団や新興の浙江吉利控股集団、さらに中国部品最大手の万向集団も買収を検討してきた。電気自動車(EV)に近いもののエンジンも使うフィスカーの技術はエコカー開発で出遅れた中国企業でも応用が利きやすい。大気汚染が深刻になるなか、現実的な環境技術として関心を集めてきた。

フィスカーは李氏の下で再建をめざすが、同氏は通信業界での経験が長い。自動車産業への知見は乏しいとみられ、最終的に海外企業に転売される可能性も残る。

新型エネルギー「シェールガス」の普及もあり、オバマ政権の経済政策の力点が2期目に入って環境から製造業復活に移ったこともグリーンニューディール退潮の背景にある。オバマ氏は一時は「10年で1500億ドルを投じ、500万人の雇用を生み出す」としていたが、公約は雲散霧消しそうな情勢だ。

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