欧米製薬、中国に活路 メルクは1200億円投じ研究拠点

2011/12/29付
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欧米製薬大手が中国事業を拡大している。米メルクは15億ドル(約1200億円)を投じ新薬の研究開発施設を開設する。英アストラゼネカは後発薬メーカーを買収、米ファイザーも現地大手と合弁事業に乗り出す。先進国の医薬品市場は政府の債務問題などで低成長が続く一方、中国市場は年2割のペースで拡大が見込めるため、活路を求める動きが続きそうだ。

メルクは2014年をメドに北京に「アジア研究開発本部」を開設する。敷地面積は4万7千平方メートルで、研究者など約600人を現地で雇用する。スイスのノバルティスは10億ドルを投じて上海の研究開発拠点を拡大。約1千人の研究者を採用する。

中国では食生活の高カロリー化などに伴い、糖尿病など生活習慣病患者が増えている。生活習慣病の治療は薬を長期間飲み続ける必要があるため、製薬会社にとっては収益性が高い製品群となる。北京や上海など大都市には米国の研究開発機関で実績を積んだ若手研究者が多く、人材も確保しやすい。メルクは新拠点を通じ、心血管疾患や糖尿病を中心に現地の研究者と協業しながら新薬の研究開発を進める方針だ。

現地企業の買収や提携も活発化。アストラゼネカは広東省にある感染症向け注射剤の後発薬メーカーを買収した。買収額は非公開。アストラゼネカは江蘇省にも2億ドルを投じて製薬工場を新設する方針だ。ファイザーは上海医薬と中国の製薬事業で提携。浙江海正薬業とは後発薬事業で合弁会社を設立する。

中国政府は09年に3年計画の医療制度改革に着手。保険適用範囲の拡大や医薬品流通システムの整備を進めてきた。同改革を受けて、中国の医薬品市場は急速な規模拡大が見込まれる。米IMSヘルスは、中国の医薬品市場が10年実績の411億ドルから年19~22%のペースで拡大し、15年には最大1250億ドルに達すると試算する。世界の医薬品市場で約1割のシェアを占め、ドイツ、フランスなど欧州主要5カ国や日本と肩を並べる規模だ。

米国などに比べて安い研究開発コストも魅力で、ノバルティスは日本などアジア向け新薬の開発も上海の拠点に集約する方針。医薬品市場のみならず研究開発拠点としても、世界の製薬市場で中国の存在感が高まりそうだ。

(ニューヨーク=西邨紘子、フランクフルト=下田英一郎)

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