キプロス、支援条件なお満たさず 危機対応法案可決
富裕層限定の預金課税探る

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2013/3/23付
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【ベルリン=赤川省吾】キプロスの議会は22日、具体的な危機対策として大手銀行を整理する法案をようやく可決した。だが、ユーロ圏が求める銀行預金への課税など「受益者の痛み」には踏み込めず、まだ金融支援の条件である58億ユーロ(約7千億円)の自主財源を満たしていない。キプロスは富裕層に限定した形で再び預金課税を探るが、ユーロ圏財務相が24日に予定する臨時会合で、すんなり資金支援を認めるかは不透明だ。

一部の銀行ATMでは現金を引き出すための行列が連日発生している(キプロス・ニコシア)

一部の銀行ATMでは現金を引き出すための行列が連日発生している(キプロス・ニコシア)

キプロスとユーロ圏は2012年から、深刻な経営不振に陥った銀行の増資資金を得るため話し合いを継続。一度は15日に最大100億ユーロ(約1兆2200億円)の資金支援で大筋合意した。

しかし「すべての預金者に課税しキプロスが58億ユーロを調達」など条件を付けたため、キプロス国民は猛反発。及び腰になったキプロス議会は課税案を否決した。

今回の代替案は、大手銀の整理により投入する公的資金の必要額を減らすことに加え、年金基金などを活用した基金で自主財源の穴埋めを図るのが狙い。代替案でどこまで財源を確保できるかは不明だが、約束の58億ユーロには届かない見通しだ。

キプロス政府は24日のユーロ圏財務相会合を前に、「痛み」を最小限にとどめつつ支援条件を満たすため、一度は撤回した預金課税案を別な形で検討し始めた。

現地メディアによると「同国最大手のキプロス銀行に対象を絞り、10万ユーロ以上の高額預金者だけに預金額の20~25%を課税する」という案が取り沙汰される。キプロスの銀行にはロシアや英国、中・東欧など海外富裕層が250億ユーロの預金を持つとみられる。新たな案ならば納税義務者の大半が国外の富裕層となるため、少額預金者の多いキプロス国民の反発を和らげられるとの思惑だ。

一方のユーロ側にも、預金者負担を求めないキプロス政府へ強い要求を突き付ける事情がある。最大の資金の出し手であるドイツは9月に連邦議会(下院)選挙を控える。メルケル首相の連立与党は1月の地方選で野党に敗れており、安易な資金支援は命取りになるためだ。

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