/

ムバラク元大統領保釈 エジプト、大規模デモ再燃も

【カイロ=久門武史】2011年の民主化運動「アラブの春」で退陣に追い込まれ、勾留中だったエジプトのムバラク元大統領が22日、保釈された。暫定政権への抵抗を続けるイスラム勢力は23日午後、全国で大規模なデモを実施する構え。暫定政権は暴力行為は鎮圧する方針で、治安部隊との衝突が再燃すれば混乱が長引きかねない。

元大統領は22日午後、収監先の刑務所からカイロ南部マーディにある軍病院にヘリコプターで移送された。勾留先には支持者が集まり、出所を歓迎した。

暫定政権は保釈に先立ち、非常事態宣言に基づき軟禁下に置くとの声明を発表した。健康状態などから公職に復帰する可能性はほぼないが、出所することへの民衆の反感は強い。公の場に現れるのを避けるのは、元大統領の安全確保のためともみられる。

軍のクーデターで解任されたモルシ前大統領の出身母体であるイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」などは23日、集団礼拝後に「殉教の金曜日」と名付けたデモを計画。その前日のムバラク元大統領の保釈は、抗議の新たな材料を与えた形だ。モルシ前大統領が暫定政権に拘束されたまま、11年にデモで打倒された元大統領が刑務所を出る事態に、批判が集中するのは必至だ。

暫定政権は同胞団の解散検討を表明し、20日に同胞団の最高指導者バディア氏を逮捕するなどして包囲網を強めている。同胞団支持派は暫定政権が座り込みを強制排除し、夜間外出禁止令を出した14日以降も連日のデモを展開。しかし参加者は減少傾向にあるとみられ、23日のデモの動員は今後、勢力を盛り返すかを占う試金石となる。

元大統領の保釈を巡っては、暫定政権の支持勢力でも「アラブの春」でムバラク政権打倒に動いた若年層や、政治経済の自由を重んじるリベラル派などから批判が上がる。独裁政権時代を嫌悪する層が離反し、一部が同胞団と連携する可能性もある。同胞団と敵対する若者組織「タマルド(反乱)」などが保釈を批判する声明を出した。

1週間前の16日に同胞団支持派が「怒りの金曜日」と名付けて各地で展開した大規模集会では、治安部隊と衝突し、100人規模の死者が出た。強制排除があった14日以降の全土の死者は既に900人を超えた。

空軍出身の元大統領は1981年から30年間にわたる独裁体制を敷いた。11年の退陣後に複数の罪で起訴され、デモ参加者の殺害関与を巡ってはやり直し裁判が続いている。次回公判は25日の予定。ただ裁判所が21日に保釈命令を出し、起訴された一連の事件すべてで拘束を続ける法的根拠がなくなった。検察も異議を申し立てなかった。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン