2019年2月21日(木)

[FT]双方が望まない不毛なガザの戦闘拡大

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2014/7/23 14:40
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イスラエルとパレスチナ自治区ガザを支配するイスラム原理主義組織「ハマス」が繰り広げる戦いの無益さはいくら誇張しても足りないほどだ。いずれの側も戦争行為を再開するつもりはなかった。ところがこの何度も予行演習された混乱と恐怖のスパイラル――イスラム主義者がガザの小さな領土からロケット弾を発射し、イスラエルが誘導ミサイルと砲弾を浴びせて反撃する――は、独自の非道な論理を展開し始めた。

ケラニさん(53)の家族の葬式で悲嘆にくれる親戚。イブラヒム・ケラニさんと妻タフリードさん、子供5人の7人がイスラエルの攻撃で犠牲に(22日、ガザ自治区)=AP

ケラニさん(53)の家族の葬式で悲嘆にくれる親戚。イブラヒム・ケラニさんと妻タフリードさん、子供5人の7人がイスラエルの攻撃で犠牲に(22日、ガザ自治区)=AP

双方とも自国民に対し、流血の事態を正当化する理由を示す必要があった。ハマスは7年間のガザ包囲攻撃を打ち破るため、イスラエルは抑止力を回復するため、というものだ。いずれも170万人のガザ住民に対して長期的な展望を描くことなく、悲惨な出来事の連続に飲み込まれ、良識ある未来への希望が断ち切られたように見える。

強大なイスラエルと、レバノンの民兵組織「ヒズボラ」やガザのハマスとの不釣り合いな戦争に関する過去の経験で言うと、大虐殺をやめさせるには通常、何か残虐な事件が起きて世界中で激しい抗議が巻き起こり、国際社会の大立者が乗り出してくる必要があった。だが今回の戦いは、流血事件のハードルが上がったことを示唆している。

■パレスチナ側に600人超の死者

イスラエルが先週、地上作戦を開始してから、パレスチナ人の死者(主に民間人)は600人を超えた。一方、イスラエルの22日朝時点の死者は29人で、うち27人が兵士だという。しかし、イスラエル軍の砲弾がガザの浜辺でサッカーをしていた4人の少年の命を奪うという、ガザの一般市民を無差別に攻撃した最悪の恐怖の瞬間でも、攻撃の手を止めさせる有益な効果が一切なかった。

打開策を探るために中東入りした米国のケリー国務長官が、イスラエルの軍事攻撃が大勢の民間人や子供を犠牲にしていることを「恐るべきピンポイント攻撃」と呼んだマイクロホンの肉声が捉えられたのは確かだ。しかし、同氏はすぐに政権の方針に戻り、ハマスの一斉射撃に対するイスラエルの反撃が「適切かつ正当な」自衛防衛だと断言した。

こうした血なまぐさい出来事の引き金を探そうとすると、必ず政治的な背景に行き当たる。今回の事態に先立ち、先月、ヨルダン川西岸地区の入植地でイスラエル人の神学校に通う生徒3人が誘拐されて殺害され、その報復としてパレスチナ人の10代の少年が殺害された。

■複雑に絡むイスラム組織

誘拐犯とみられるグループは、ハマスとパレスチナ自治政府の主流派で西岸地区の一部を支配する穏健派組織「ファタハ」との統一政府樹立の合意を台無しにした。2006年の選挙での勝利に続く流血の内部抗争でファタハをガザ地区から追い出したハマスは、ファタハとの和解を求めていた。

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2014/7/23 11:00

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