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中国事業拡大より「ネットの信頼」 グーグル

強硬策、「国家対ネット」の構図鮮明

【シリコンバレー=田中暁人】インターネット検索最大手の米グーグルは22日、中国本土でのネット検索サービスを停止する一方、香港経由のサービスに切り替えて自主検閲を撤廃する強硬策に打って出た。目先の中国事業拡大より、世界に広がるネット利用者からの信頼を重視した。中国事業を監視する新サイト設立も発表。中国政府の反発は必至で「国家対ネット」の構図が鮮明になってきた。米中関係にも影響は必至だ。

グーグルの中国本格参入は2006年。同国でのネットサービス展開には、一部情報を非表示にする「ネット検閲」で当局の要請に従う必要があり、当時は米議会や人権団体などの批判が相次いだ。ただ、グーグルは「中国市民の情報のアクセスを高めるメリットがある」と反論。世論を押し切る形で参入を決めた。

だが「(08年夏の)北京五輪以降、妨害が特にひどくなった」(共同創業者のセルゲイ・ブリン氏)。人権活動家のメール情報を狙った昨年12月の中国からのサイバー攻撃をきっかけに、グーグルは「中国での事業方針を変える必要がある」と判断。メールや検索情報など利用者の重要な情報を管理するグーグルへの「脅威論」も高まるなか、大国・中国と対峙(たいじ)してでも世界16億人以上のネット利用者の信頼獲得を進める判断に至った。

22日には、検索など自社が展開するネットサービスの中国からの利用状況を一般に公開する専用サイトも新設。1日単位で毎日更新し、どのサービスが遮断されているかを公表する。グーグル幹部は同日、中国当局が香港経由の「検閲無し」サービスを妨害する可能性も示唆しており、当局の介入を世界ネット利用者が"監視"できるようにした。

共同創業者のブリン氏は2月の講演で中国本土での「検閲無し」サービス展開の可能性について「明日には成し遂げられないが、数年後には可能になると信じている」と言及するなど、中国問題には中長期的に取り組む姿勢を示している。

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