2018年7月22日(日)

スペイン緊縮策、綱渡り続く 地方選で与党1勝1敗

2012/10/23付
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 【ビルバオ(スペイン北部バスク州)=竹内康雄】21日投開票されたスペインの2つの地方州議会選挙は、ラホイ首相にとってお膝元である北西部ガリシア州で勝利、バスク州で敗北する1勝1敗の結果となった。首相は一定の信任を得たとして従来の緊縮財政路線を続ける構えだが、独立機運の高まりという問題に向き合いながら、地方の財政悪化をどう改善するかが課題となる。

 「銀行問題は出口が見えた。残るは地方問題だ」。スペイン経済省の幹部はこう打ち明ける。今年前半に欧州を揺らしたスペインの銀行危機は、ユーロ圏から最大1000億ユーロの支援を受ける約束をし、政府自らも国内銀に厳しい引当金を積ませるなど不良債権処理を進めた結果、最近では市場に銀行部門の状況が材料視されることはほぼなくなった。政権が今後取り組むのは、主に地方との関係が中心となる。

■約半分の州が政府に支援要請

 「資金繰りが苦しい」。地方選2日前の19日。スペインの東に位置するバレアレス諸島と、ガリシア州の東にあるアストゥリアス州が中央政府に支援を要請した。支援要請を表明したのは、カタルーニャ州を含め8州。全17州のうち約半分に上る。

 中央政府は7月、地方の債務償還などを支援する目的で総額180億ユーロの緊急融資基金を設置。この基金から支援を拠出する方針だが、8州合計で既に約170億ユーロに到達。今後、他州が支援要請する可能性を踏まえ、政府内では上積みを求める声が出ているが、財政負担が増えるため、簡単にできない事情がある。

■独立急進派の新党が躍進

 「我々は新しい道を開く」。バスク州で新党ながらも第2党に躍進した「ビルドゥ」のミンテギ党首は21日深夜、高揚した表情で宣言した。バスク語で「集合」を意味するビルドゥは同州の独立急進派で、非合法組織「バスク祖国と自由(ETA)」との関係が深いとされる。ETAは昨年10月に武装闘争停止を決めたが、数々の無差別テロは人々の記憶に残る。

 現地紙パイスはバスクの選挙結果が「(来月25日の)カタルーニャ州議会選に影響を与えるだろう」と分析。同州でも独立機運は高まっており、マスコレル経済・知識相は日本経済新聞に議会選で独立支持派が多数を占めれば、独立を問う住民投票を実施する考えを表明した。

 もちろん独立は簡単ではない。中央政府は「州独自の住民投票は憲法違反」との姿勢で、実現可能性は高いとはいえない。それでも中央政府にとって、こうした独立意識の高まりは無視できない存在になりつつある。

■首相、中央集権改革に着手

 折しもラホイ首相は行き過ぎた地方分権を是正し、中央に権限を集中させる改革に着手したところだった。スペインではフランコ独裁政権時代の反動から地方分権が欧州の他の国よりも進んでいる。各州は外交や軍事を除き、教育や医療など幅広い政策を自ら実行できる。

 半面、中央政府が財政改革などで意思決定をしようとしても、各州の同意が必要で政策遂行に遅れが出るケースも目立っていた。日本企業幹部は「どんな手続きをするにせよ、中央と地方の窓口に何度も行くのは当たり前」と明かす。

 ガリシア州での勝利を受け、ラホイ首相は従来の緊縮路線を続けるとみられる。ただ「独立問題」という懸念が深まったのも事実で、地方にいっそう目配りしながらの政権運営を迫られそうだ。

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