ソニー、エンタメ事業のコスト削減へ 年250億円規模
【シリコンバレー=奥平和行】ソニーは21日、映画などのエンターテインメント事業で2016年3月期までに年間2億5000万ドル(約250億円)規模のコストを減らす方針を明らかにした。人件費などの削減を進める。当たり外れの大きい映画の制作を減らして安定しているテレビ番組に注力する方針も併せて示し、エンタメ事業の収益力を高める。
同日に映画子会社の米ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)が本社を置く米カリフォルニア州カルバーシティー市で投資家向け説明会を開き、平井一夫社長らが事業戦略を説明した。ソニーは大株主の米ヘッジファンド、サード・ポイントからエンタメ事業の分離上場を求められていた。
コスト削減は人件費などで1億5000万ドル強、調達費で1億ドルを見込む。ソニーはエンタメ事業の収益改善に向けて米ベイン・アンド・カンパニーと契約しており、同社などの知見を活用する見通しだ。映画はここ数年は年間23本前後制作していたが、来年は18本程度に減らす方針。今夏は9本の映画を公開したが、来夏は4本にとどめる計画だ。
説明会ではSPEが家庭用ゲーム機「プレイステーション4」の専用コンテンツを制作するなど、グループ内の連携が進んでいることを強調した。エンタメ事業の分離上場を求める大株主の意向について平井社長は「事業の様々な側面に光を当て、実態をよく理解してもらえるように努めたい」と述べるにとどめた。
エンタメ事業の15年3月期の業績については、映画部門は売上高が84億ドル、営業利益率が7.5%、音楽部門は売上高が48億ドル、営業利益率が9.5%になるとの見通しを示した。また17年3月期までの営業利益の年平均増加率は映画部門が1ケタ台後半から10%台前半、音楽部門が1ケタ台半ばから後半になると説明した。
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