イスラエルとハマス、停戦合意 武力衝突なお懸念
【カイロ=押野真也】イスラエルとパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスは21日、停戦合意に達した。同日午後9時(日本時間22日午前4時)に発効した。強硬姿勢を示していたイスラエル政府が仲介役の米国やエジプトに配慮。ガザへの地上部隊投入はひとまず回避された。ただ、合意直後にハマスがイスラエル側にロケット弾を撃ち込むなど緊張は解けておらず、合意が持続するかは不透明だ。
停戦合意は21日にイスラエルとハマスの双方が発表した。同日夜(日本時間22日未明)、イスラエルのネタニヤフ首相は「(停戦を仲介した)オバマ米大統領とエジプト政府に感謝する」との声明を出した。
米国とエジプトが仲介した交渉で、イスラエルはハマスに対して15年以上の長期停戦を要求。決裂の可能性もささやかれていた。最終的には対米協調を重視するネタニヤフ首相の方針を受けて停戦を受諾したようだ。
ただ、ロイター通信は、合意直後にガザからイスラエルに10発以上のロケット弾が発射されたと報じており、武力衝突の懸念はなお消えない。ハマスの指導者マシャル氏は21日、カイロでの記者会見で「武装を続ける」と語った。
合意直前にはイスラエルの商都テルアビブでバスを狙った爆弾テロが発生。約20人が負傷した。首謀者は特定されていないが、ハマス報道官はテロを歓迎するコメントを発表。ハマスの動向を見極めたいイスラエルはガザ周辺の地上部隊を当面維持するとみられる。
ハマスは停戦交渉でイスラエルが封鎖しているガザとの境界を開放するよう求めていた。今回の停戦では、イスラエルが境界の開放に応じたとの情報がある一方で、態度を保留しているとの見方も出ている。自爆テロなどを警戒して開放をためらえば事態が再び悪化しかねない。
停戦を仲介した米国やエジプト、アラブ連盟などは双方に合意順守を促すとともに、停戦を持続させるための監視体制の構築が必要となりそうだ。
イスラエルは14日からガザへの空爆を繰り返し、21日までのパレスチナ側の死者は140人以上に上る。