2018年8月19日(日)

ロシア、企業保護へ「オンブズマン制度」

2012/6/21付
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 【サンクトペテルブルク(ロシア北西部)=石川陽平】ロシアのプーチン大統領は21日の演説で、新政権の経済政策の優先課題として投資環境の整備に取り組む方針を表明した。外資も含む企業の権利を保護するための「企業家オンブズマン制度」を設立、公正な民営化の実施で経済への国家介入を減らすと強調した。世界経済の先行きが不透明さを増す中、投資促進を持続的な成長につなげる考えだが、早期の実現には難しさも伴う。

 プーチン大統領は21日、サンクトペテルブルクで開いた国際経済フォーラムで演説した。フォーラムは国内と海外の企業家や政府関係者、専門家らが集まり、世界とロシアの経済問題を話し合う「ロシア版ダボス会議」。プーチン大統領が5月7日の就任後初めて、経済政策の優先課題を内外に示す場となった。

 企業家オンブズマン制度について、プーチン大統領は「汚職や行政組織による圧力から企業家を守る」必要があると指摘。裁判で企業家の権利を擁護し、係争中の政令などが実施されないように停止を求める権限を与えた。

 オンブズマンには有力な企業家団体「実業ロシア」のボリス・チトフ会長を指名し、近く発足させると述べた。

 投資環境の改善に向け「公正な民営化」を促進する方針も強調した。プーチン氏は「(経済への国家管理を強める)国家資本主義は我々の目的ではない」と言明。1990年代の民営化が政権との癒着から「国家資産の略奪」を招いたとの批判を念頭に置いているとみられる。

 6月上旬にメドベージェフ首相率いる政府が決定した新たな政府保有株式の売却計画を着実に進め、経済活動における国家の役割を減らす方針を示した。

 さらに、税関や建設、電気の利用など様々な分野で問題となっていた煩雑な許認可手続きを減らすための行動計画を策定する。

 行動計画を実施に移すための官民合同の委員会を設立すると表明。「汚職が我々の発展にとって、最も大きな脅威となっている」として汚職対策も強化するとした。

 こうした投資環境の改善策を導入する結果、プーチン氏は国内総生産(GDP)に占める投資の割合を「現在の約20%から2018年に27%に引き上げる」と指摘。「世界銀行の国・地域別のビジネス環境調査で11年の120位から18年に20位以内に入る」目標を掲げた。

 石油やガスなど天然資源に依存する経済構造の変革を目指す姿勢も強調した。

 ハイテク分野の新規雇用の創出などで労働生産性を18年までに現在の1.5倍に引き上げる方針を示した。政府歳入の約半分を占める石油・ガス部門を除いた財政赤字のGDP比を、現在の10%超から大きく改める考えも強調した。

 プーチン氏が優先課題として投資環境の改善を挙げた背景には「危機に耐えられる新しい経済」を急いでつくる必要があるとの認識がある。

 最大の貿易相手である欧州の景気失速や原油価格の下落により石油・ガス部門が低迷すれば、経済成長率は11年の4.3%から急落する恐れが指摘される。

 ただ、GDPの50%を超えたとされる国営企業など国家部門の割合を引き下げ、公的機関にはびこる汚職を減らすのは容易ではない。

 経済の国家管理が急速に進み、汚職が深刻になったのは00~08年の前回のプーチン政権下だった。「反プーチン」を掲げて大都市で続く抗議運動も、新政権の改革実行力に強い不信感の表れといえる。

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