[FT]燃料より食料、米国は環境政策見直せ(社説)

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2012/8/22 7:00
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(2012年8月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

「決して危機を無駄にするな」ということらしい。米国の干ばつによるトウモロコシ価格の高騰は、理にかなわず有害な政策を是正する動機と機会を生んだ。自動車の燃料に、トウモロコシを原料としたエタノールの利用を義務付けた米国の政策だ。

■EPAは適用免除に踏み切るべき

干ばつで痛んだトウモロコシ(8月16日、ネブラスカ州の農場)=AP

干ばつで痛んだトウモロコシ(8月16日、ネブラスカ州の農場)=AP

2005年に米議会で可決された再生可能燃料基準(RFS)は、エタノールなどのバイオ燃料の配合量を増やすことを燃料精製業者に義務付けている。米国の農家にはRFSは目を見張る効果を発揮した。エタノールは今年の米国のトウモロコシ収穫高の約40%を消費する見込みだ。

農家以外のすべての人にとってRFSのメリットは怪しい。効果のほどは定かでないが、バイオ燃料は食糧価格の上昇につながる。ひいき目に見ても疑わしい環境・エネルギー安全保障上の利益と引き換えに。

長期的に米国はバイオ燃料戦略を見直す必要がある。RFSは、農業廃棄物や非食用作物から作られるセルロース系エタノールなどの先進燃料の開発が進むことを前提に、エタノール利用のさらなる拡大を想定している。これらの先進燃料は何度も出だしで躓き、いまだに商業生産に至っていない。

短期的には米国環境保護庁(EPA)が、経済や環境を「著しく害する」場合にRFSの適用を免除する権限を持つ。現在の状況はこの要件を十分満たす。

■燃料業界は効果薄いと主張

バイオ燃料業界はいみじくも、RFSの適用免除は即効性も劇的な効果も見込めなさそうだと主張している。精製業者は、燃料の品質基準を満たすために依然として大量のエタノールを必要とするので、生産は一夜にして止まらない。

またRFSの要件は、エタノールの生産時に発行される再生可能識別番号(RIN)という売買可能なクレジットを使って満たすこともできる。未使用のクレジットが大量にあるため、精製業者は現物のエタノールを求める代わりにクレジットで義務を果たせ、やはりRFSの適用免除の効果を鈍らせる。

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