2019年6月19日(水)

[FT]アジア新興国に90年代通貨危機の亡霊

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2013/8/22 7:00
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(2013年8月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

2008年の危機と輸出先である西側市場の失速に、中国は同国史上最大の景気刺激策で応じた。その代償は大きかった。中国は現在、一部エコノミストいわく債務総額の国内総生産(GDP)比を200%超に膨らませたツケと奮闘している。

中国の事例は債務を使って経済成長率を高めた最も極端なケースだが、実はアジアの各地で繰り返されてきたパターンでもある。輸出がなくなると中央銀行が金融を緩和し、家計と企業の借り入れが急増するというパターンだ。

ルピア紙幣を準備する銀行員。インドネシアのインフレ率は7月、4年半ぶりとなるペースで進み8.61%に急騰した(ジャカルタ)=ロイター

ルピア紙幣を準備する銀行員。インドネシアのインフレ率は7月、4年半ぶりとなるペースで進み8.61%に急騰した(ジャカルタ)=ロイター

■QEが信用インフレ引き起こす

米連邦準備理事会(FRB)が現在、超金融緩和政策の転換を検討していることから、アジア諸国は積み上がった債務をどうするかという新たな難問に直面している。そしてFRBの政策転換の影響を投資家が推し量るなか、1997~98年のアジア金融危機の亡霊が再び目を覚ます状況になっている。

「QE(量的緩和)のマネーは、アジアで大規模な信用インフレバブルを引き起こした」。大和証券で地域担当のチーフエコノミストを務めるケビン・ライ氏はこう指摘する。「犯罪が実行されてしまった以上、我々はもうその結果に対処するしかない。その過程ではかなりのダメージがもたらされるだろう。マージンコール(追い証)のようなものだ。家計は資産の売却を迫られ、富の破壊がかなり行われることになる」

アジア金融危機の再来を思わせる現象は容易に見つけることができる。信用残高は2008年以降急増しており、住宅価格が上昇したり、高い経済成長率が達成されたり、大型M&A(企業の合併・買収)が実行されたりするに至っている。調査会社ディールロジックによれば、タイでは今年4月に、国内では史上最大の企業買収取引と同国史上最大の株式上場が相次いで記録されている。

しかし、外国の低利資金がアジアの新興国から引き揚げられるなかで、複数のアナリストは、アジアは1990年代に経験したような通貨・信用危機の入り口に立っているのかもしれないとの警告を発している。

■アジア各地に伝染するリスクも

これまでのところ、そうした関心の大半はインドとインドネシアに向けられてきた。どちらも過去最大の経常赤字を計上しており、外国資本への依存度が最も高くなっているためだ。両国の通貨と株式市場はここ1週間急落している。

しかし、エコノミストらによれば、アジア各地に伝染するリスクは高まり始めており、アジア最大の成長エンジンである中国の景気減速が事態をさらに悪化させているという。

定義の上では第2四半期に景気後退入りしたタイでは、家計債務のGDP比が2009年の55%から現在のほぼ80%へと大幅に上昇している。金融大手HSBCがまとめたデータによれば、債務総額のGDP比は現在180%だという。

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